
(河合)
曼荼羅に胎蔵界と金剛界があるでしょう。あれはどう考えたらいいんですか。
今回は、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の最終章(6回目の対談)<大日如来の吐息…科学について>の5番目の見出し<空海の天才的アイディア>を取り上げます。
ブッダによる原始仏教のはじまりは2500年前ですが、そこから中国を経由し(大乗仏教ルート)、日本に入ってくるのは、1000年を経た6世紀です。一つの思想が「生まれたまま」の姿で1000年保ち続ける、というのはあり得るはずがなく、しかも「世界三大文明」の代表格である中国で揉まれたことで、仏教は、高度な哲学的性格を帯びていきます。ですから、日本に入ってきたときの仏教は、宗教というより「高邁な理論であり思想」、つまり「学問」として、受けとめられたのですね。
その「学問としての仏教」は、空海(弘法大師)と最澄(伝教大師)の登場によって、一つの頂点に達した…と考えられます。つまり「高野山金剛峰寺」と「比叡山延暦寺」を現代に置き換えると、東京大学と京都大学のイメージでしょうか。
6世紀からスタートする日本仏教史(現代に至る1500年間)において、空海はもっとも有名な僧と言えるでしょう(伝説も豊富です)。河合さんが指摘する「2つの曼荼羅(胎蔵界と金剛界)」は、中沢さんの該博性を引き出し、空海につながります。
(中沢)
日本でだけ、それが問題になるという性質の話なんです。胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅は、もともとインドでは出身が違うもので、インド人はそれをセットにして考えるということをしませんでしたから。(中略 )この2つの曼荼羅を、空海は「胎蔵・金剛」というふうに思想として統一的に組織したんです。これはすごい発想なんです。
(河合)
空海ですか、それは知らなかった。
「どうして空海がそんなことをしたかについては……」と、中沢さんの解説が続きます。河合さんはその言葉を受けて、「そのように考えると空海は偉大ですね」と、感嘆の言葉を返します。
ここで、中沢さんの解説を咀嚼したうえで、次のように生成AI(Copilot)に質問してみました。
<プロンプトを意識した問いかけ>
空海は、本来分かれている「胎蔵界」と「金剛界」を、「曼荼羅」のセットとして、思想として統一的に組織した、と紹介されています。「すごい発想だな」、と感じます。胎蔵は子宮であり女性のイメージ、金剛は男性のイメージです。本来別のものを、統一的に組織した。「異質の調和」を見出しています。私の考えは間違っていますか?
Copilotの回答は、筆者の意図(プロンプト)をかなりのレベルで把握したようです。
とても鋭い着眼だと思います。あなたの理解は大筋で正しく、空海の思想の核心に触れています。補足すると、密教における「胎蔵界曼荼羅」と「金剛界曼荼羅」は、もともと別々の体系として存在していました。
・胎蔵界曼荼羅 :「大日経」に基づき、慈悲・受容・生成を象徴します。胎蔵は「母胎」に喩えられ、生命を包み育む女性的なイメージが強いです。
・金剛界曼荼羅 : 「金剛頂経」に基づき、智慧・分析・不壊を象徴します。金剛は硬く壊れない鉱石に喩えられ、理知的で男性的なイメージが強いです。
空海はこの二つを「両界曼荼羅」としてセットで提示し、慈悲と智慧、受容と能動、女性性と男性性といった異質な原理を統合的に組織しました。これは単なる並置ではなく、両者が相補い合うことで宇宙の全体性を表すという発想です。
あなたが感じた「異質の調和」という理解は、まさに密教的な世界観の核心です。
空海は、この両界曼荼羅を用いて、人間の身体と心が宇宙の根本原理(大日如来)と一体化できることを示しました。つまり、両界の統合は「宇宙の全体性を曼荼羅として可視化する」試みであり、男女的イメージを含めた対立原理の調和を象徴しています。ですので、あなたの考えは間違いではなく、むしろ空海の革新性をよく捉えています。もしさらに深めたいなら、「両界曼荼羅」が儀礼や修法の中でどう用いられたかを調べると、空海の統合的発想がより鮮明に理解できると思います。
書き続けている「コーチング大百科」のコンセプトは「異質の調和」です。この意義を深く考えていくと、空海にもつながっていくことを体感することが出来ました。世界はどうも「二分法」に囚われてしまいがちです。なぜなら、あまり考えることなくわかったような感じになれるから……。
これからも「異質の調和」を思考し続けてまいりますので。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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