人は自分自身になることで自分と関係する人も変化していく!

ロジャーズ選集~厳選33論文(上・下)』はロジャーズの理論体系を時系列で追っているわけではありません。このアンソロジー(選集)は、選者の独自な視点によって9つの章(部)がたてられ、そのカテゴリーに沿って33の論文(講演含む)が配置される構成です。
その第Ⅰ部のスタートが、ロジャーズが59歳のときに講演した「私を語る」です。その中でロジャーズは、次のように問いかけます。

他人とその感情を心から受容することは、理解することと同じようになまやさしいことではない。私に敵意を持っている人を本当に許せるだろうか。彼の怒りが彼の本当のものであり、正当なものとして受容できるのだろうか。人生観がまったく異なっている人を受容できるだろうか…

と他者を受容することの困難さを多くの言葉を用いて語ります。そして…

私が他人を受容できるとき、それをもっと具体的にいえば、彼の感情や態度、信念などを彼の生きている現実のものとして受容できるならば、私は彼がひとりの人間になる援助をしているのである。このことにはとても大きな価値があると思われるのである。

次の体験はとても伝えにくいものである。私が自分自身や他人のなかの現実にひらかれていればいるほど、ことを急いで「処理」しようとしなくなってきている。私が自分の内部に耳を傾けようとし、私のなかに進んでいるその体験過程に耳を傾けているとき、そしてまた、その同じ傾聴の態度を他人にも広げようとするとき、それだけ私は、複雑なプロセスを尊重するようになってきている。私は、ただ自分自身になること、他人がその人自身になるように援助をすることにますます満足するようになった。このことが、聞きなれない、ほとんど東洋的な観点と思われるだろうことはよく承知している。

前段でロジャーズは、「他者が、自分と異なる感じをもつことをなかなか許せない」ことを否定していません。否定してしまったら「無条件の肯定的配慮(受容)」ではなくなり、自分が提唱する理論との矛盾が生じます。

では、それにとどまってよいのか…そうではないことを説明しようとしているのが、上記の言葉です。つまり、まずとにかく受容するのです(それが明らかにおかしな考え方であっても)。それがゆっくりとした時間の流れのなかで(複雑なプロセスを経て)、自分が変容し、そして他者も変わっていくことをロジャーズ自身が体験したのです。ここは論理ではありません。とにかく体験し実感できたのです。

ロジャーズは、この心の中の不思議な動きについて、他者に何とか伝えようと、言葉を選びながら語ります。それでも「果たして理解してくれるだろうか、共感してくれるだろうか…」と感じているのでしょう。「東洋的な観点」と、禅問答“的”であることの自覚を含めて言葉を続けます。

このように多くの言葉を費やして、「私の最も生々しい経験、自身の私生活や専門職の生活から学んだ最も深い経験」として、一つの到達点を語るのです。

自分自身や他人の現実を理解し受容しようとすればするほど、それだけ変化が起こり出してくるように思われる。非常に逆説的なのであるが、誰でも進んで自分自身になろうとすればするほど、自分が変化するばかりでなく、自分と関係する人たちもまた変化していくのである。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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