(小川)
セラピストが、解釈をしない?
(河合)
ある時ある箱庭のスライドを見せられたんですが、いくら観てもモノの言いようがなかったんです。そうしたらそれは、その人の友達が面白半分に作ったものやっていうんです。
『生きるとは、自分の物語をつくること』の9番目の見出しは「箱庭を作る」です。最初に小川さんが「(クライアントが)言葉にどうしてもできない、表現できない場合は、箱庭療法をなさるのですか?」と質問します。それを受けて河合さんは、中学生でとにかく何もものを言わない子が、「ンッ」て唸るようなものすごい箱庭を作ったりして、「びっくりする」と答えます。「普通の人が面白半分に作った箱庭が一番つまらない。言い方を変えると、ごまかせるのが普通の人なんです」と、河合さんは言葉を重ねます。
冒頭の引用は、それに続くお二人の対話です。
今回は、臨床心理学者である河合さんの業績の嚆矢である「箱庭療法」がテーマです。Wikipediaの中にある「日本への導入」の項を一部引用します。
そして1965年、河合隼雄により箱庭療法が日本に紹介された。最初は天理市と京都市に導入され、実践と同時に多くの箱庭療法に関する研究も京都大学の河合隼雄や、山中康裕、岡田康伸(3人ともに臨床心理士)などを中心に行われる。その後は、一つの大学にとどまらず他の大学においても活発な実践・研究が行われるようになる。
現在では、病院・学校等の心理相談室、少年鑑別所などの機関で使用されている。
河合さんは、繰り返し「言葉はごまかしがきく」と言います。
(小川)
そんなに如実に表れてしまうんですか、それだけ言葉っていう道具の方が不自由なものだということでしょうか。
(河合)
もう恐ろしいぐらい出ます。言葉の方が一般的にはごまかし可能ですよ。相当嫌な人にでも、「お会いできて嬉しいです」ぐらい言えますもんね。そやけど顔は変わらん(笑)。「いやぁ、もう結構です」って言っても、手が前にピューッと出てきたりね(笑)。そういうことと同じで、作ったものの方がきちんと出ます。ところが普通の人はごまかしで作れるんです。社会人とはそういうものでしょ。ごまかさなければ生きていかれへんのですから。
(小川)
かっちりした自分なりの理論とか道徳心とかで自分を守っている人。
(河合)
ペルソナをもって生きている人ですね。ところがそういう普通の人でも、箱庭を作っているうちに思わず破ってしまう時があるんですね。だから、箱庭を、それこそ小川さんとか、作家の人に作ってもらったらどうかって言われたことがあります。
プロコーチはカウンセラーと同様、「人間関係」に関する専門職です。「言葉」によってごまかされてしまう「普通の人」ではなく、今その時のクライアントの状態を「言葉」も含めた五感で把握します。プロコーチの五感は、クライアントのセッションを重ねることで、鍛えられ、教えられ、磨かれます。
「箱庭療法を作る」の最後あたりで交わされるお二人の対話を引用して、今回の解説を終えることにしましょう。
(小川)
患者さんによって、カウンセラーも深められるというところがあるんでしょうか。
(河合)
それどころか、われわれは常に患者さんに訓練されています。作家の方が書くごとに成長されるのと一緒です。僕らが一番鍛えられるのは、来られる方によってです。
(小川)
一段高いところにカウンセラーがいて、引っ張り上げるのではないんですね。
(河合)
引っ張り上げるという感覚はないですね。鍛えられて、教えられて、鍛えられて、教えられて、だんだんだんだん訓練される。そういう感じです。人は一人一人違う。同じ人が来るはずはないので、前のことを生かしてやるということは、ほとんどあり得ない。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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