境界線とは、自分の生き方、心、マインドを他の不健全な行為や攻撃的な行動から自分を守るために設定する線のことです。ただし、この線の引き方を誤ると、閉じた世界に閉じ込められ、視野狭窄となって、望まない結果がもたらされることになります。
境界線は、フロイトが提示した「防衛機制」との関連が想起されます。
広辞苑に「不安、葛藤の情況や欲求不満に当面したとき、自分を守ろうとして自動的に無意識にとる適応の仕方。投射や合理化などを含む。」と、説明されているように、「境界線」で囲まれた面積が縮まっていたり、狭いままにとどまっていることで、それらの防衛機制が発動されるものと解釈できそうです。
自分にとって居心地の良い状態、のびのびと居られる状態を保つためには、「健全な境界線」を見出し、広げていくことが求められるのです。
境界線を定めることは、「自分は何者であるのか」「自分が誰であるのか」「誰ではないのか」を明確にすることでもあります。
別の視点では、この境界線を上手くつくることができず、あいまいなままだと、不安定な精神状態となり、場合によっては日常生活に齟齬をきたしてしまう状況に陥ってしまいます。
すべての人が個性的であることを踏まえると、境界線のあり方も一人ひとり異なります。したがって、境界線を設定するためには、まず自分自身を知ることから始める必要があります。その境界線も、自分が成長し、成熟することで変化していくのです。
自己概念と経験は強い関係性を持っているのですが、多くの人はそのことに気づいていません。
「健全な境界線」は、自己概念と経験が一致している面積が増えれば増えるほど、広がっていきます。
境界線で守る面積が狭いということは、経験知が限られているということでもあり、さまざまな経験を重ね、自分を変化させ、成長し続けている人と比べ脆弱です。いざというときレジリエンスを発揮することができません。
境界線の内側の面積を拡大することは、その人が持つ強靭性を高めることでもあるのです。一人ひとりがそのことを実現するためにコーチングは力を発揮します。
健全な境界線を持つと、新しいことにチャレンジする場合でも、不安や恐怖心が薄まります。主体的に行動することで、家族、友人、そして社会でかかわる人との間に良好な関係性を築くことができるようになります。
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