
(河合)
いやあ、よくわかります。さっきのモンゴルの話も面白いねえ。シャーマニズムが本当に巨大化して、こんな大きいやつがあるんだったなということでみんな急にそこでインパクトを受けてねえ。つまり、僕は人間は「俺がやった」と言いたがると言ったけども、巨大化したものを背景にして人間が何かをやりたがるという、これが人間の悪いところ。
(中沢)
そのことが言いたかったことです。
河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の第1章「仏教への帰還」の7番目の見出し…「野生の思考」と同居するシャーマニズム…にあるお二人の対話です。前回の終りで、中沢さんが「対称性の思考」の大切さを語ったところを紹介していますが、その知見に、河合さんが共感したところを引用しました。
人間には、「秩序」と「忘我」の両方を求めるアンビバレントな性向が存在する。この両面を調整するのが「文化」である、と中沢さんは指摘します。
河合さんが話題にした「モンゴルの話」というのは、「モンゴル人だって昔草原でほかの遊牧や狩猟の民族に囲まれて暮らしているうちは、野生の思考とシャーマニズムは同居できていたんでしょうが、何かのはずみでバランスが崩壊してシャーマニズムの極が異常に発達するようになりました。その辺のことは歴史学もまだ明らかにしていません」…と、中沢さんが少し前に語ったことを、取り上げているのです。
中沢さんは、モンゴルが世界史上最大の帝国をつくり上げた背景を、「忘我(トランス状態)」としてのシャーマニズムが異常に発達し、その「極」が現出したことに見出しています。そして、「巨大化したものを背景にして人間が何かをやりたがるという、これが人間の悪いところ」という河合さんの指摘は、「人間の業」をズバリ言い当てている。
中沢さんもインスパイアします。続きを引用します。
(中沢)
そのことが言いたかったことです。
(河合)
本当言うたらね、大きい国をつくったってしゃあないやないの。
(中沢)
大国を目指すこと自体もう狂気なんでしょうが、狂気が大声で自分の正義を言い立てていると、何となく「それもありかな」なんて思っちゃうところが、人間の弱さなんでしょうね。
(河合)
そんなことができるんだったら、ということでほかの者もその真似をしたり、それに対抗したくなったりするし、それとよく似ているのがいまの科学技術。
「科学」は発展し続ける。それはどのような力を集合させても止めることはできない。そして「科学」それ自体は「悪」ではない。ただし、それをどのように使いこなすかは、「秩序」と「忘我」の両面を抱える人間に委ねられている。
生成AIの爆発的進化は、いずれAGIの誕生に至るでしょう。「生成AIと倫理」は、今このリアルな世界が抱える最大のイシューであることは、言を俟たないところです。ディストピアを予見する識者もいます。一方で、孫正義さんのように、情熱を持って、ポジティブな未来の到来を語る人もいます。未来はわからない。それでも筆者は「コーチング思考」を礎として、人間にひとしく備わっている「叡智」を信じようと思います。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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