「アンビバレンス」とは、微妙な味わいを伴う人間関係のこと

「碁に凝ると親の死目に逢わぬ」という諺がある… から、『大人の友情』の7番目のテーマ「碁がたき、ポンユー」はスタートしています。その最後である4話のタイトルは「碁がたきの味」です。これまでの3話では「碁がたき」という言葉は登場していません。その意味が、この4話で明かされます。少しモヤモヤが晴れました(笑)

「碁敵(ごがたき)は憎さもにくしなつかしさ」という川柳がある。碁打ち同士の感情がうまく表現されている。負けたときなど、憎くてたまらない。それに伴う相手の言動などを思い出すと、もう会うものかと思う。しかし、「なつかしい」のである。すぐに会いたくなるのだ。しかし、このような感情は、人間関係について全般的にも言えることではなかろうか。「憎くてなつかしい」、「なつかしいけど憎らしい」、そのような感情は他のことでも、多く味わうはずである。このような微妙な味の伴わない人間関係は、淡い、薄いものではなかろうか。

心理学用語として必ず登場するキーワードに「アンビバレンス(アンビバレント、アンビバレンツとも表現します)」があります。ブロイラーが創始し、フロイトが精神分析の中で多くの説明を費やした概念(精神状態)です。「好きだけど嫌い」といった、相反する感情が同時に起こってしまう状況なのですが、「碁がたき」への感情は、典型的なアンビバレンスのようです。
河合さんは「このような人生の微妙な味を知り、友情を深めるという意味で、勝負事の仲間のことを考えてみるのは、非常に示唆的である」と、4つのエッセイで構成されたテーマの結論に向かって筆を進めます。

ここで大切なのは、互いに敵対するのだが、その敵対関係に力を注ぎ勝負に熱中するための大枠として、共にルールを守る、という共通項があることを忘れてはならない。この点において、二人は敵対しつつ協調しあっているのである。しかも、それに熱中しつつ、それが「遊び」であることも知っている。このバランスが意義深いのである。

河合さんはこの後で、相談室にやってくる、いろいろな子どもとの「遊び」を語ります。

学校へ行けない子、チックの子、夜尿の子、いろんな子どもが相談室にくるが、われわれ臨床心理士はもっぱらこの子たちと遊ぶ。遊びを通じて子どもが治っていくのだ。
そんなときに典型的に出てくるのがルール破りである。弱くて仲間と遊べなかった子が、だんだんと治療者を相手に遊びはじめ、このときゲームなどをするが、勝ちたい一心でズルをする子が多い。これにどう対処するかはなかなか難しい。

みなさんだったらどう対処するでしょうか?
子どもは、遊びを通じて治ってゆく、と河合さんは言います。ただ、カウンセラーは治療者でもあるプロフェッショナルであり、「ただ遊んでいる」わけではありません。河合さんは「怒ったり、説教したりしてもはじまらない」と、まず言葉にします。そして「ズル」を奨励することもありません。

治療者はその度に心を使いながら、許容したり、自分もわざとズルしてみたり、笑いのなかのたしなめがあったり、そのうちに、子どもはズルをせずに正々堂々と勝負するようになり、その頃には、すべて問題が解決している、ということが多い。
悪を許容するわけではないが、それでも何とか関係を続けてゆき、変化を期待し続ける態度に支えられて、子どもは成長してゆくのである。

最後に、河合さんの「大人の世界」に向けた眼差しを紹介し、今回の解説を終えることにします。

どんなに立派な人、人格高潔な人も心のどこかには陰がある。ただ、それとどのような形で生きてゆくか、というところに難しい問題がある。陰があるのは残念だし、悪は許容し難い。しかし、それによって人を全面拒否するのはおかしい。人生の、友情の味にはほろ苦さが混ざっている。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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