
吉本家のお墓は、京王線「明大前」の築地本願寺和田堀廟所にある。築地本願寺“墓所部”のような扱いで、ちゃんと佃門専用の区画が設けられている。墓石は私ですら、いまだに見落として迷うくらい小さくて、そっけない。
「戦後思想界の巨人」とリスペクトされる吉本隆明さんの長女で、漫画家のハルノ宵子さん執筆の『隆明だもの』は、32のエッセイと作家である次女の吉本ばななさんとの姉妹対談で構成されています。引用は、3月16日にアップした<「群れるな、ひとりが一番強い」>に続く7番目の<蓮と骨>の始まりです。
「自分ちのお墓」については、すべてのファミリーに「個有な」物語が存在します。ただ「個有」である分、共感が広がるエッセイに仕立て上げる難易度は、かなり高い。プロの漫画家であり「物書き」としてのハルノさんは、巷間、“観察と記述の鬼”という評価が定着しています。素人は「自分ちのこと」を書く場合、どうしても「情緒」に流されてしまう。ハルノさんは、一見「情緒」とは無縁の書きっぷりです。でもその「情緒」は、「ユーモアとペーソス」に纏われ、気づかれることなく私たちを「風情」の世界に誘います。
お墓には父の祖父のお骨から、兄弟親戚など、実にアバウトに入っているので、満杯状態だ。「これは早い者勝ちね」などと、納骨のたび覗き込んでは親戚と話していたが、父の納骨を機会に内部を改築し、曾祖父などの古いお骨は、ザラッと下の土に還した。
ハルノさんは、サラッと書き記します。そして……
本来の浄土真宗がそうなのか、吉本家が大雑把なのか、生前親類同様の付き合いがあれば、他人でもウェルカムな感覚が、吉本家にはある。“骨”になったら“物”なのだ。
ハルノさんは「ブツであっても、残された者にとっては思い入れがある」と語り、納骨の前に父親の骨を、「ガッサリ」とお骨を一握りほど取り分け、妹一家と一緒に、天草の祖父の造船所跡とされる漁港に、数個を撒きます。オノマトペが冴えますね(笑)。
甥っ子は、じいじの骨を喜んで放り投げ、かじってみた。「身体にいいかもね。純粋なカルシウムだし」と、皆で笑った。
ここのくだりは、解説不用ですね。「吉本ファミリー」の“そのまま”が描かれている。さらに……
毎夏行った西伊豆の海水浴場にも、泳ぎながら撒いた。96年に父が溺れ死にかけた堤防の突端からは、「よし! リベンジだ」(もはや意味不明だが…)と、皆で骨を投げ込んだ。
ひとりポケットに骨を入れたハルノさんは、東京でもさまざまな場所に「パラパラと指で砕きながら」撒きます。ところで、吉本隆明さんは、晩年に著した『今に生きる親鸞』のなかで、次のように語っています。
親鸞は弘長2年(1262)に89歳で京都で亡くなったとされます。(中略)親鸞は、寺をつくれとか、仏像を拝めとは一切言っていないし、そんなものは要らないんだと言っていたのですが、子孫がつくってしまったわけです。
長女のハルノさんは、父親が綴った「この言葉」を承継している。<蓮と骨>の最後を引用し、今回を終えることにしましょう。
お寺には悪いが、どんなに催促されても、四十九日以降、一周忌の法要すらしていない。道徳を重んずる人や、厳格な宗派の方々からすれば、卒倒モノの罰あたりの行為だろうが、「気の済むようにやってくれや」という声に従う。
もしも熱心な読者の方が、父の縁(ゆかり)の地を訪ねてくれたなら、あなたは“リアル隆明”を踏んずけているかもしれない。
これが父への最高の供養だと思っている。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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