河合隼雄さんは、作家でも文芸評論家でも文学博士でもない、けれども…
思い切り想像の翼を飛翔させ、どんなに遠く現実から離陸したつもりでも、物語は宙にふわふわと漂う単なる妄想ではなく、根は必ず、現実を生きる人間の内面と結びついているのです。逆に、そうでなければ小説は意味を持たないでしょう。 ...
思い切り想像の翼を飛翔させ、どんなに遠く現実から離陸したつもりでも、物語は宙にふわふわと漂う単なる妄想ではなく、根は必ず、現実を生きる人間の内面と結びついているのです。逆に、そうでなければ小説は意味を持たないでしょう。 ...
一度きりの予定であった会話を、もう少し時間をかけて幾度か積み重ね、最終的に本にまとめてみたらどうだろう、との案が出たのがどのようないきさつからであったのか、今では判然としていません。しかし、最初の対談のおり、「ではそろそ...
本来ならばこのページは、先生から発せられるもっともっとたくさんの言葉たちで埋めつくされるはずでした。それが叶わなくなり、私は白紙のページに取り残され、一人立ち尽くしているような気持ちです。尋ねたかったこと、確かめたかった...
(河合)「行けなかった」と言った時「でも行けるよ」って言うたら、行けなかった悲しみを僕は受けとめていないことになる。ごまかそうとしている。…… 『生きるとは、自分の物語をつくること』に、全部で17ほど付された「見出し」の...
(河合)……僕はこの頃よう言っているんですけど、「僕はアースされているから大丈夫」なんです。(小川)通り道になっているっていうことですか。(河合)うん、それで、最後は地球にお任せしてるってね(笑)。(小川)それは、「死ん...
(小川)新宿の街なんか歩いていて思うんですが、超高層の近代的な、一流企業が入っているようなビルもあれば、ガード下の一杯飲み屋みたいなのもある。日本は街自体にも境界線がないですよね。(河合)そうそう、日本は境界線がいろんな...
対談の途中、先生は一度、深い悲しみの表情を見せられました。御巣鷹山に墜落した日航機に、九つの男の子を一人乗せたお母さんの話が出た時でした。心弾む一人旅になるはずが、あんな悲劇に巻き込まれ、お母さんは一生拭えない罪悪感を背...
(小川)子どもの頃からそういう環境にいたので、金光教の教えというのが、自分の中に否応ないものとしてあります。金光教は、神様と人間の関係を作っていく宗教なんです。そしてその関係はまだ確立されていない。なぜなら、神様のことを...
(小川)究極の家出ですね。(河合)そういうことです。まさに「出家」は「家出」ですから。それでそういう時に「絆」という同じ漢字が使われているのは面白いでしょう。「絆し」を断ち切って出家するから意味があるんですけど、初めから...
『生きるとは、自分の物語をつくること』の11番目の見出しは「多神教の日本で生まれた『源氏物語』」です。河合さんは、一神教であるキリスト教と多神教の違いを紐解きます。日本は多神教であったからこそ、紫式部が『源氏物語』を著す...
(小川)人間が困難な現実を、自分の心に合うように組み立て直して受け入れるというのは、私にもよくわかるんですけれど、ときどき、例えば地下鉄サリン事件に遭って助かった方だとか、尼崎の脱線事故で助かった方、あるいはアウシュビッ...
(小川)セラピストが、解釈をしない?(河合)ある時ある箱庭のスライドを見せられたんですが、いくら観てもモノの言いようがなかったんです。そうしたらそれは、その人の友達が面白半分に作ったものやっていうんです。 『生きるとは、...
(小川)言葉がない。(河合)ないんです。というのは、大人はごまかしてしゃべれる。ちょっと間が悪いなと思ったら、「いや、曇ってますな」って言えばいい。話を続けられるんです。ところが中学生や高校生の子はそんなことは絶対言いた...
『生きることは、自分の物語をつくること』の7番目の見出しは、「偶然」に気づくこと、です。最初の1ページでは、河合さんが、カウンセリングの臨床で、患者さんが治っていく過程で、さまざまな「偶然が起こる」ことを語ります。それは...
今回から、『生きるとは、自分の物語をつくること』の第Ⅱ部に移ります。第Ⅰ部の「魂のあるところ」は、2005年12月15日に文化庁長官室で行われています。そして、この第Ⅱ部は、半年後の2006年6月15日に、同じく文化庁長...