“真にすごい人”は、忖度・マウントゼロの「独自の世界」を築いている!?

昔、村上春樹先生と河合隼雄先生の対談の本を読んで、びっくりしたことがあった。春樹先生が、はじめて年相応の感じを見せているからだ。それは幼いという意味ではなくて、決して河合先生によりかかっているわけではないのに、すっかり心を開いてしまっているということだ。私は一ファンとして、はじめて春樹先生の実像に触れた気がして嬉しかった。

前回まで、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』を引用しつつ、コーチングを語ってきました。それを完結させたので、「はてどうしたものか…」と悩んだ末、とにもかくにも、書き出しとして文字を打ったのが、この言葉です。
河合隼雄さんと某作家の語り合いが収められた本の「対談を終えて」の冒頭です。「某作家」が誰であるのかは、最後に開示させていただきます。
対談が行われたのは、21世紀の始まりの年。日本放送出版協会から発刊されています。同本は2004年9月に文庫版が出版され、筆者はそれを読み、さまざまな「気づき」を得ています。文庫版には、この「対談を終えて」の後に「文庫版あとがき」が掲載されています。併せて引用してみます。

文庫になるというので読み返してみたが、幼さが目についてしまって顔が真っ赤になる。おはずかしい限りだ。
でも、バカはバカなりに、気持ちをぶつけていっているところはいいところだと思う。私は一生このバカ街道をまっすぐに歩んでいくしかないのだろう。
でも、それはそんなに悪い道ではない。たまに河合先生みたいなすばらしい人に会えるからだ。河合先生は、このあとすぐに文化庁の長官になられて、次にお会いしたときにはなんとなく政治家っぽいかっこよさを身につけていた。もともとすてきな方だが、前は「医者、教授タイプ」のすてきさだった。今は政治家(マイナスの意味ではなく、ほんらいそうあるべき意味の)っぽくてかっこいい。……

このあと8行続きます。最後は「この思い出を抱いて、私もかっこいいおばあさんを目指してすてきなバカロードを歩んでいこう。その中でまた河合先生に会えるときは、いつでも宝物を見つける気持ちになるだろう」、で〆られるのですね。
310~ページにあるこのコメントは…すごい! 「直截そのもの」の表現です。某作家だからこそ綴り得る「オーソドクシー」であることを感受しました。

河合さんは、この「直截なメッセージ」を受けて、どのような「文庫版あとがき」を添えるのか。そのはじまりは、「○○○さんの文庫版あとがきを読んで考え込んでしまった。……」です。

○○○さんは珍しくウソを言わない人だ。しかし、私が「政治家っぽくてかっこいい」とはどういうことなんだろう。まさか冷やかしではあるまい。
私に会うと「文化庁長官言うても、フツーのおじさんですな」などと言う人が多く、「そら、そうでっせ」と私も同感するのだが、○○○さんの文を読んで、鏡を見て…それも三面鏡や合わせ鏡までして…研究したが、どうも納得できない。○○○さんに大変な宿題をもらったように思う。宿題未解決のままでも、またいつかお会いしたいものである。

大概の「あとがき」はもう少し長いのが通常です。河合さんの8行(文庫本の)は、世界的臨床心理学者をも戸惑わせてしまう「自問自答」です(笑)。予定調和を超越する言葉の交わし合いに、筆者はコーチングを見出しています。

さて、冒頭で引用した「昔、村上春樹先生と河合隼雄先生の対談の本を読んで、ぴっくりしたことがあった。」という対談の本は何かというと、『村上春樹、河合隼雄に会いに行く(1996年12月刊行/岩波書店)』です。筆者も「びっくり」しました。
村上春樹の小説を読んで「等身大の春樹さん」をイメージする人が多いようですが、それこそが春樹さんの「プロフェッショナリズム」であり、読者をして幻惑させてしまうマジックリアリズムなのですね。同書を読むまで「春樹さんは自己開示を拒否する自己プロデュース型の作家である」と、思っていましたから。

春樹さんの“自己開示が顕れてしまった”同本を取り上げ、コラムとして2回綴っています。「村上春樹 心理学」でグーグル検索いただくと、上位にヒットします。リンクを張らせていただきますので、一読いただくと幸甚です。
心理学とコーチング ~河合隼雄と村上春樹 その1~
心理学とコーチング ~河合隼雄と村上春樹 その2~
予告の種明かしです。某作家は「吉本ばなな」さん。その対談は『なるほどの対話』です。次回より、紹介してみようと思います。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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