異なる知と知が交錯し、そして融合します…ケミストリーです!

(中沢)
…… とにかく迷信はよくないものだし、神話、とくに日本神話は危険なものだし、神秘主義は戦わなくちゃならないものだし、歴史には科学的な法則があるし、日本的なシステムはいけないものだし、そういうものすべてを撲滅するために、日本人はもっと科学的にならなくちゃいかん、という大人たちがまわりにいっぱいいました。とくに学校の先生がそうでしたね。……

河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の最終章(6回目の対談)<大日如来の吐息…科学について>の2番目の見出し<砂漠のなかを「科学」という車で……>を取り上げます。最終章の最初の見出し<戦争体験から科学へ>については、前回まで4回ほど取り上げています。内容は、“圧倒的な”河合さんの一人語りです。中沢さんが言葉を挟む隙を与えない流れでした。前回はこの“4話の総括“を試みています。

最終章2番目のこの見出しは、河合さんの熱情に煽られたような中沢さんが顔を覗かせます。といいますか、本来の中沢さんが現れます(笑)。息継ぎを感じさせない3ページにわたる熱弁です。ちなみに引用の最初を「……」と省略しています。
「どうかなさったんですか、きょうはやけに雄弁な切り出しなのでびっくりしました(笑)。……」と、中沢さんが“切り出す”言葉なのですが、すでに紹介しているのでカットしました(笑)。

中沢さんは昭和25年生まれです。河合さんは昭和3年ですから、22歳の開きがあります。戦時中をリアルに体験していない中沢さんですが、河合さんが吐露した「自己実現の苦しみ」を受けとめます。自分も抱いた感覚とダブらせて……
冒頭の引用の続きです。

河合先生が体験なさって苦しんだ戦前のやり方の振り子が、今度は反対の方向に極端に振れて、戦後の科学主義の教育のなかで、僕は苦しみました。そういう風潮のなかで、とても孤独でした。だって僕の好きなものは、たいてい科学主義にとっては危険物の範疇に入っていましたから。でも、科学そのものはとっても好きでした。頭がすっきりしてくるからです。でもそれには限界があるな、とも感じていました。……

中沢さんの「リベラルアーツ志向」も筋金入りですね(笑)。河合さんの場合は、大学までは、コテコテの「理科系志向」でしたが、中沢さんの場合「理科系的頭脳(天才型です)」をもともと持ち合わせていながら、幼少期から「それを超える世界」を思索していたわけです。戦前の「現人神(天皇)」は、「日本神話」に由来しますから、振り子が振れた教育が一斉に始まっても、中沢さんは「日本神話」「神秘主義」に強いシンパシーを感じていたのですね。
それから… 科学が好きだった理由を「頭がすっきりしてくるからです」というのは、なかなか言えるものではない(笑)。

『仏教が好き!』の前に行われたお二人の対談『ブッダの夢』を取り上げた際、気づいたことがあります。そのことを<河合隼雄さんと中沢新一さんは「まったく違うタイプ」…「相補性」です!>というタイトルを付し、描いてみました。一部再掲します。

『ブッダの夢』を徹底的に読み込んで気づいたことがあります。それは、「河合さんと中沢さんは、まったく違うタイプである」ということです。チベット仏教の修行を通じて、中沢さんは、スピリチュアルを体感しています。「幽体離脱」も経験済みです。つまり、中沢さんは「南方熊楠的」なのですね。一方で河合さんは「柳田國男タイプ」。お二人が惹きあうのは「相補性」そのものであるということが、しっかり理解できました。

だからお二人の対話は「ケミストリー」に満ち溢れている。異なる知と知が交錯し、そして融合します。コーチング対話が極まっていく世界を筆者は体感しています。
今回の最後に、続く「独自の中沢学」を語る中沢さんの言葉を引用し、終えることにしましょう。

僕が好きだったのは、「不合理なもの」に分類されてしまうものが多かったのですが、そういう考え方に入り込んでみると、ある領域のことでは科学以上にすっきりと世界が理解できる、という感覚を持っていたからです。お祭りや習俗や神話みたいなものにひどく惹かれていましたが、そういうもののなかに何か別のタイプの「理性」が働いているのを、直感的に知っていましたから、そういう「理性」は、科学的理性よりも、ずっと自由なやりかたで、同じようなことをしてきたんじゃないか、と感じていたんですね。……


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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