
(中沢)
……スピノザとライプニッツは、今、やっぱりとても重要な二人ですね。今の人間のかかえている魂の問題は、スピノザの汎神論というか無神論ではないと、解けないことが多い。
(河合)
そうですね。全部神。
(中沢)
全部神だということは神なんて言う必要もないということですから、その意味で無神論だと思います。もう神など立てないのですから。
(河合)
なるほど。
(中沢)
無神論に立ってその中から倫理を導き出すわけでしょう。しかもそれを論理的に導き出した。この冒険はすごい。
(河合)
すっごい。
前回より、『ブッダの夢』第5章「善悪を超える倫理」の6番目の見出し、「スピノザで現代人の魂の問題をとく」を取り上げています。
30年近く前の対談ですが、当時スピノザについては、現在ほど語られることはなかったようです。宗教学者の中沢新一さんは、この『ブッダの夢』の中で、スピノザの世界をさまざまな語り口で紹介します。河合隼雄さんという、世界の宗教と哲学に通暁している先達を得て、「神即自然」が「二元論」を超越する思想であることを、河合さんと共に確認しておきたい、という「想い」が伝わってきます。
ただ「汎神論」という日本語は、とても硬い。黒船来航に度肝を抜かれた日本が、明治になって懸命に西洋科学と文化(キリスト教です)を取り込もうと、それまで存在していなかった「西洋の概念」を、啓もう家たちによって高尚な日本語として翻訳された、その一例だと想像します。
「汎用性」という表現がよく使われるように「汎」は「すべてに広がる」という意味なので、「すべてに用いることができる」が「汎用性」です。したがって「汎神論」は、「すべてが神なのである」ということですね。ですからスピノザの「神即自然(Deus sive Natura)」と、ほぼ同義としての表現です。
ただし、スピノザのこの考えは、当時のキリスト教社会では「神を冒涜している」と、受けとめられたようです。中沢さんも指摘しているように「無神論」と解釈されてしまったのです。
冒頭の引用に目を転じてください。河合さんが「すっごい」と、合いの手を入れてくれたことで、中沢さんにスイッチが入ります。スピノザと親鸞がつながります。続きを引用して、今回のコーチング解説(二元論ではありませんから)を終えることにします。
(中沢)
親鸞もそれに近いことを構想したんでしょうね。倫理の問題を善悪の二元論を超えて、自然から出発させている。スピノザも自然イコール神と、よく似たことを言ってますね。出発点は自然である神。親鸞も自然法爾(じねんほうに)というあるがままの自然状態を出発点にして、そこから倫理を考えることはできないだろうか。それは善悪二元の倫理じゃないだろうって考えていた。仏が善悪二元を超えたものを一気にすくい上げるわけだから、悪人は当然、正機すると言ったと思います。ところが、スピノザは一歩進んで、同じベースに立って、神イコール自然から人間の倫理を導き出してみせた。空前のことをスピノザはやってのけた。モナド型コンピューターのライプニッツと、神なき倫理のスピノザ。この二人の抱えた主題はまったく現代的でしょう。そこで先生にまでスピノザを押しつけたりして。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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