クライアントの「本来備わっていた能力」が顕在化していくシーンです

(河合)
……次に少し時間が経って来られて、作られた作品です [写真7参照]。一見してなんかぜんぜんわかりませんが、ここに、この、饅頭みたいなのがあって、この人は大きい帽子だと言われ、鳥も飾りで、白いもの全部飾りなんです。自分は帽子を作ってみたかったんだと言われましたが、帽子なんて作った人はいませんから、面白いなあと思って。写真6の僕とこの人との関係というのは、ここで消えるわけです。
(中沢)
よかったですね。
(河合)
ええ。今度はまったく違う次元のほうへ行かれました。
(中沢)
帽子の中に河合さんがいたりして。
([写真参照]については、著作権の関係で紹介できないことをご了解ください)

河合隼雄さんと中沢新一さんの『ブッダの夢』の第3章「箱庭療法の宗教性」を取り上げてのコーチング解説を続けています。
土日祝日以外の毎日、こうして回を重ねている「CBLコーチング情報局~コーチング大百科」は、一話完結を旨としています。そうなると、「写真6の僕とこの人との関係というのは、ここで消えるわけです」の意味するところは「?」ですね。「続きもの」になってしまいますが、前回の解説にその答えがありますので、目を通してみてください。
中沢さんの「よかったですね」、さらに「帽子の中に河合さんがいたりして」という気を利かせたジョークも、しっかり腹落ちさせることができますから。

筆者は、この第3章の最後(129~132ページ)に添付された12枚の参照写真を見ながら、河合さんのコメントを読んでいます。ただの「箱庭」だと想像されるかもしれませんが、それを作っていく道具(材料)が豊富で、結構複雑な作品を作ることが出来るのですね。河合さんと同世代であるこの女性クライアントは、アートのセンスを持たれていることが、写真によってビビッドに伝わってきました(ただし後半の作品から)。
河合さんは、中沢さんに、「次のときの…」と、[写真8] について説明します。「物語」がテーマとなります。

(河合)
…… ぼくは、あんまり感激したので、これを見ているとお話が心に浮かんできますねと言ったんです。そうしたら、その人もなんかそんな気がしますと言われるので、家へ帰って話を作ったらどうですかと言うたら、私、女学校卒業以来、めったに文なんて書いたことないと言われました。もしできたらと言ったら、家へ帰って文章を書いてこられたんです。作ろうと思ったらいっぺんにスラスラと出てきたんです。
そのときの物語です。

河合さんは、中沢さんにその「物語」を紹介します。文庫2/3ページのボリュームで書かれている内容を引用しましょう。

あさという女の子が、牧場で働き、牛のミルクをしぼります。ひとつ大きな帽子をとても好きでかぶっていた。彼女は、いつまでもこんなところにいるのかしらとか、いったいどうなるんだろうと、帽子に話しかけますが、帽子はぜんぜん答えてくれない。
夜、寝ますと、夢を見て、白い鳥が二羽来て、今ここに白いリボンを持ってきたと言います。この白いリボンを朝露で染めると赤くなります。朝露が、陽の光で赤くなる瞬間をとって染めなさいと。ところがいっぺんに染められないから、毎日、毎日染めていたら、リボンが真っ赤になる。それをやり続けなさい、と言われて、目が覚める。目が覚めたら実際、白いリボンがあったわけです。それで、あさはリボンを染める作業を毎朝やるんです。全部真っ赤になった時に、目が覚めたら、この赤いリボンをつけた帽子の上に自分と、もう一人、男の子が乗っているんです。その男の子に、あなたは誰? と言ったら、僕はルビーと答えます。そして、これから新しい世界へ二人で出かけようというんで、喜んで出かけましたというのが、このお話なんです。

「自分のことはわかっている」というのは思い込みであり、それをプロコーチとのコーチング対話によって、自分の内部にある潜在能力に気づき、「できるかもしれない」という自己肯定感を原動力に実践してみる。その過程を通して、「本来備わっていた能力」が見事に顕在化していく(花開く)……
これがコーチングです。

「河合さんの箱庭療法も同じだ!」、との想いを筆者は噛みしめています。この年輩の女性クライアントは、全く思っても見なかった「小説が書ける潜在能力」に驚きを感じたでしょう。河合さんはこの後、残りの4枚の写真を紹介しながら、クライアントの「物語」を中沢さんに語ります。さてどのような「物語」が顕れるのでしょうか……


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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