ことばと音の回転扉、それが<声>だ。声はことばとしての意味(メッセージ)を載せるが、同時にそれ自身の肌理(きめ)をもっている。その肌理が意味とは別なかたちで他者にふれる。声はいつも二重奏(デュオ)をかなでてきたのだ。
『臨床とことば』の最終章の最後の見出しは、「声にふれる」です。同書を引用しながらのコーチングを語るのは今回が70回目であり、この回をもって同書から離れ、次回から新しい題材を用いて、コーチングを語ってみようと思います。
引用は、この見出しの始まりです。文学的表現にググッときますね。「きめ」と「肌理」を使い分けている鷲田さんの視点については、10月21日の「語りには書字にはないものがある。声である。」のタイトルで、取り上げています。
「きめ」は「肌理」とも書くが、まさに声は皮膚にふれてくる他者の<顔>なのだ。
鷲田さんのこの言葉に触発された筆者は……
「肌の肌理(きめ)」は、つぎのようにまとめられます。コーチングのコーチは、<声>がもつその力を信じ、クラアントに寄り添うのです。……と、続く鷲田さんの言葉を引用しています。
語りには書字にはないものがある。声である。書字にかたちがあるように、語りには声がある。語りにおいて、ことばは意味を含むものとしてだけでなく、声としても発せられる。そして声は、語りにおいて意味を超えた力を持つ。臨床のことばについて考えるときに、語りの<意味>(text)についてのほかに、語りのこの<声>(texture=きめ)についても考えておく必要がある。
コーチングは、まさに「クライアントとの二重奏」です。コーチとクライアントは同一人物ではありません(当たり前ですが)。その異なる二人が「デュエット」しながら、クライアントが求めるゴールを共有し、一緒に歩を進めます。そこに「ハーモニー」が生まれると、コーチングは輝きを増していきます。「異質の調和」です。緒方貞子さんの言葉を再掲します。
隣の人は自分と同じとは思わない方がいいですよ。あなたと私は違うのです。違った部分については、より理解しようとするとか、より尊敬するとかしなくてはいけないのではないでしょうか。“異人”という言葉。あれ、“異なる人”と書くでしょう。人間を見る時には、本当はにんべんの“偉人”でなくてはいけないのですよ。
鷲田さんは、この『臨床とことば』の最後で、「相手と呼吸を合わせる」ことが「聴き取り(傾聴)」のはじまりである、と言います。「同調」という言葉も登場する次の「ことば」を掉尾として、『臨床とことば』を取り上げてのコーチング解説を終えることにしましょう。
ところで、聴き取りというのは、相手と文字通り呼吸を合わせることからはじまると、ケアの現場で聞いたことがある。精神分析医から聞いたこともある。ナースは、声を聴くために、患者の瞳をじっと見つめ、知らないあいだに布団に手を当てている。声の肌理を聴くために、「あなた」にふれるためには、ことばはもういちど身体の振動にまで連れ戻されなければならない。
そのためにはさらに、その振動に同調できるところまでじぶんの身体のこわばりを解かねばならない。じぶんのものではないことばをその肌理ごと迎え入れるために。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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