そしてこの合わされた皮膚のあいだ、折り畳まれた皮膚のあいだから、音が響いてくる。あたりまえのことだが、人間とは音を立てる存在なのだ。ただ、声にとって音を立てる喉と聴く耳がその特権的な場所であるのは、それが空気の振動をじかに多彩に、微細に仕分けて、音色というものを生み出してゆくからであり、またその音源のすぐ近くに耳があるとは言える。しかしそういう事実においては、じつは他のそれと共鳴するというかたちで起こるということがさらに大きな意味をもっている。
『臨床とことば』第4章8番目の見出し、「身震い」を取り上げるのは今回が3回目なのですが、一応前回で終える予定でした。ただ思い直し、もう一回綴ってみようと思います。というのも、4ページで構成される内容のうち、3ページのところまでを引用し、コーチングに結びつけたのが前回であり、鷲田さんが「大きな意味を持っている」と〆ている、最後の段落に触れていないのは「いかがなものか」と、感じてしまったからです。
冒頭の引用は、その最後の段落です。
内容は、喉と耳という身体器官の位置(とても近い)に注目した語りです。その器官の機能が書かれているのですが、少し難解です。一見物理的なことのみのようであり、「いや、メタファーとして深い意味が込められている」ようにも感じられます。コーチングの視点で解明してみようと思います(あくまでも筆者の視点で)。
鷲田さんは、この段落の前で「心」に言及します。
「心」を見えない内面としてとらえたり、その奥底について考え及んだりするより、その表面の効果として語ることで、「心」は見えるものになる。ひとの顔やふるまいやたたずまいを眼にすることで、そのひとが浸されている悲しみを知るのだから。
「眼」で捉える「表面の効果」によって、その「心」の様相を知ることができる、と鷲田さんは言います。そして冒頭の引用につなげます。「そして……音が響いてくる」と。
その「音」は、ただの音ではなく「音色」です。
空気の振動をじかに多彩に、微細に仕分けて、音色というものを生みだしてゆく…
鷲田さんは、喉と耳がとても近い位置に存在することを「特権」であると捉えます。そして最後の言葉は……
じつは他のそれと共鳴するというかたちで起こるということがさらに大きな意味を持っている。
こうやって読み込んでみると、コーチングに敷衍できるとワクワクしてきました。
鷲田さんは、ひとの顔やふるまいやたたずまいを眼にすることで「心」は見えてくる、と言います。コーチングのコーチは、クライアントを「五感」で捉えます。言葉である「text」を、字義を超えた「texture=きめ」として感受します。「心」が浮かび上がってきます。
そして、「声」は「音色」です。「多彩に、微細に」そのニュアンスをコーチは識別します。
そして鷲田さんの最後の言葉は「共鳴」でした。それは「さらに大きな意味を持っている」、と。
「人にとって、もっとも辛く悲しいことは何か…」と考えていくと、それは「孤独」に行き当たるのではないでしょうか。コーチは、クライアントを徹底的に受容し、伴走します。「text」を超えた「texture」をクライアントに届けることが出来る専門家が、コーチングのプロコーチなのです。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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