音がするのは共振という現象である。音は聴こえる。聴こえるかぎり聴く者がいる。音として聴こえるものは振動している。それがどこかに共鳴盤ないしは反響箱を見いだしたとき、そこに鳴る/聴こえるという出来事が起こる。そのとき、耳があるから音が聴こえるのか、あるいは逆に、音がそれに傾く耳を生み出すのか。これはそうかんたんな問題ではない。
今回は、『臨床とことば』第4章8番目の見出し、「身震い」を取り上げます。鷲田さんの一人語りである第4章は、「語り」と「声」の2つのテーマで構成されており、「語り」が6つ、「声」には5つの見出しを配しています。
考えてみれば、「語り」は「声」を伴うわけで、両者は切っても切れない関係です。このシンプルな2つのテーマについて、哲学者の鷲田さんは、徹底的に言葉を尽くします。さて、「声」と「身震い」という、一見かかわりの薄い「言葉」は、どのように結びついていくのでしょうか。
冒頭の引用は、その書き出しです。「共振」「振動」という言葉が登場しますが、以前綴ってみた次の言葉を思い出しています。
声楽家は言います。「私の身体は楽器ですから…」と。声は「音楽」でもあるのです(メタファーではなく)。
クラシック音楽における代表的な唱法に「ベルカント唱法」があります。とても小さな体のテノールが、信じられないほどの大音量の声を大ホール全体に響き渡らせます。これが「テノールの頭声(ヘッドボイス)」と呼ばれる「声」で、生成AIに質問すると次のような回答が返ってきました。
ヘッドボイスの特徴は次のとおりです。
声帯の3分の1しか使わず、残りの声帯は閉じた状態であるため、息漏れの少ないはっきりとした声になります。喉を開いて歌うため、響きも良く、やわらかい高音が出せるため、オペラやクラシックなどでも使われます。ベルカント唱法では、身体中の骨や空洞を効率よく響かせるため、広い会場に十分に響き渡る声で歌うことができます。また、歌声は低音から高音に向かって逆三角形のように大きく広がるイメージになります。
いかがでしょうか。素人が「大声」を出すと「声帯が潰れます」。ところが「頭声」をマスターしたテノール歌手は、何時間歌っても声が枯れません。喉で歌っていないからです。つまり「頭・身体」を「共鳴盤・反響箱」として使っているため(拡声器を使用して歌っているような状態)、エネルギーを無駄にすることなく、大音響を実現している、ということですね。
鷲田さんは、「人が声を出すと、鼓膜を通して本人はその声を聴く」という現象に着目します。コーチングとして捉えると、それが「オートクライン」であり、コーチに話しているつもりが、「自分に対して語りかけているような感覚を得る」ことです。
共鳴盤ないし反響箱、とわたしは言った。その盤として鼓膜を、その箱として身体を、念頭に置いてのことだが、それは聴くものが生きものだからだ。水や樹もピアノも音を立てるが、それらは聴かない。空気を振動させる物、それに鼓膜が共振して聴くということが起こる。しかし鼓膜もまた、紙や皮に似たひとつの物である。現に楽器はそういう物で共鳴を起こす。ではなぜ、鼓膜が振動したときに、それが聴くという出来事になるのか、それが問題だ。
今回の解説はここまでとします。鷲田さんの「問題意識」は、どのように展開していくのか、次回につなげることにしましょう。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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