「声」が「声音」となると「声の肌理」が現れてくる…

声をだす、かける、たてる、あげる、あらげる、はげます、おとす、しぼる、ふるわす、しのばせる……。声は人間の生理の、深くやわらかな部分に直結しているらしい。

今回より『臨床とことば』第4章7番目の見出し、「声の肌理(きめ)」を取り上げます。引用は、川田順造氏の『』(筑摩書房)の冒頭です。同書に啓発された鷲田さんは、「音として伝えられる声」について、独自の視点で「物語」を展開させていきます。

声の怖さ、声の妖しさ、声の甘さ、声の辛さ……。そういうものが声をめぐるどういう状況から分化してくるのかを、大きくとらえた文章である。この声の諸相をくまなく分析する用意はいまの私にはないが、聴くという場面では、語る側の、あるいは聴く側の声が、語りの意味以上に大きく相手にはたらきかける面がある。

「声」は一文字で理解できます。「人や動物が発声器官から出す音(広辞苑)」のことです。すなわち「音」を必ず伴う現象であり、それは自明のものと受けとめられるので、説明不用です(音を伴わない「声なき声」はメタファーですから)。
ところが、「声」にわざわざ「音」をプラスして「声音」という熟語が存在します。川田さんの「深くやわらかな部分に直結」、そして鷲田さんの「声の諸相」は、まさに「声音」として私たちが受けとめた結果として生じる「情動」ですね。
声楽家は言います。「私の身体は楽器ですから…」と。声は「音楽」でもあるのです(メタファーではなく)。

少し前置き(私論)が長くなりました。見出しに使われた「声の肌理」の意味するところを解明してみましょう。鷲田さんは「だれかのことを想うのに、そのひとの顔を思い浮かべずにそのひとのことを想うことはできない」、という和辻哲郎の言葉を引用した後、「声もおなじことが言える」と、敷衍します。

そのときのひとの顔とともに声が聞こえてくる。何かの台詞(せりふ)というよりも、からから笑う声とか声のぬめりとか。そう、「声のきめ」とでも言うべきものが。顔も声も、ということだろうか。いやちがうとおもう。声がそのひとの<顔>として現れてくるのだとおもう。

このパラグラフを読んだ時、「?」が点滅しました。見出しタイトルの「声の肌理」を否定している…と、感じたからです。続けて読んでみると、視点が<顔>に転じているので、ますますタイトルから離れていくようでした。ところが……

鷲田さんは「臨床哲学」を提唱されています。「哲学カフェ」から始まり、そして執筆活動にも精力を注がれています。
日本の哲学が「哲学学」と化してしまっている。すなわち私たち生活者から遊離してしまっている現状に対して、いま一度「学問の祖」である「philosophy」に立ち戻ろう、という想いが原動力となり、多くの書き物を著されてきたのだと、筆者は受けとめています。
同様に、コーチングの語源は「コーチ=乗り心地の優れた馬車」であり、その思想を「CBLコーチング情報局~コーチング大百科」で綴ってきました。

次回は、「声の肌理」に想いを込める文筆家でもある鷲田さんを感じてみようと思います。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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