念を押して、もうひとつ、わたしが聞いた話を。かつて私の哲学ゼミにいて、その後看護師の道を歩んだひとりの男の話なのだが、彼がはじめて精神病棟で勤務についた日、患者さんたちの病室にある混乱が起こり、先輩の看護師から「おーい、薬に行ってこい」と命じられた。
前回に引き続き、『臨床とことば』の第4章の3番目の見出し「関心ということ」について、語ってみようと思います。「なにもしない関係」が「関係を生む」ことを「念押し」したい鷲田さんは、何を語るのか…
引用の「薬」は何のことか分かりませんよね。「おーい、薬を持ってこい」なら意味は通じるのですが、実はこの「薬」とは、看護師である「その人」のメタファーでした。新米の看護師に、その混乱した病室に「行ってこい」という指示です。
「薬に行ってこい」というのは、病室のまんなかで寝てこいという意味だった。混乱のなかでひとりぽつんと大の字になって寝る。何もしない。ところがしばらくすると辺りがだんだん静かになり、気配を感じてふと目を開けると、こいつどうしたんだろう……といった顔つきで彼の顔をのぞき込むいくつかの顔があったというのである。これが「薬」なのだと、その先輩は言いたかったのである。「薬」とは、何もせずに患者の傍らにいつづけるということであった。生きる動機を内に感じあぐねている患者のなかに他者への関心が生まれるようにする「薬」であった。
鷲田さんは、「極端な例ばかりを挙げすぎかもしれない」と言います。それでも、「何かをしてあげる」という意識を外してみることで、はじめて見えてくる世界のあることを、こうやって言葉にします。
「philosophy」を西周は「哲学」と訳しました。「哲学」の響きはとても高邁です。「頭のいい特別な人たち」が研究する「哲学学(庶民とは縁遠い世界)」というイメージを、日本のアカデミズムが築き上げてしまったのではないか(結果として)、という問題意識のもと、本来の「philosophy」に立ち返ってみようと、鷲田さんは「臨床哲学」を提起し、実践してこられました。
コーチングは「実践」そのものです。コーチとクライアントが「対等」であることを共有し、セッションに臨みます。人と人の「関係」の在り方は、実に多彩です。派生することばの「関心」について、鷲田さんの語りは深淵です。
「関心」の意味を紐解く鷲田さんの次の言葉を引用し、今回のコーチング解説を終えることにします。
関心のことを英語でinterestという。Interestはラテン語のinter-esseからきている。「あいだにあるということ」というほどの意味である。存在の相互性が起こるということ、そのことぬきに、他者にかかわるという「ケア」のいとなみはありえない。意識のない患者のばあい、存在のその相互性……ことばのやりとり、関心のもちあい……は表立っては起こらないが、そのばあいでさえもなんらかの相互性というものが生まれているはずだ。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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