「他人の話を聴くとき」と「自分が聴いてもらうとき」は非対称?

事実、ひとには、それがじぶんにとって重大であればあるほど分かられてたまるかという想いがある。大事なことをようやっとぼそぼそと、あるいはとつとつと、口にしたときに、「その気持ち、分かります」などと言われれば、かえって「何が分かったの?」と返したくなる。
あるいは逆に、聴く側とすれば、ここで分からないといけないのだろうけれど、でもどうしても分かりたくないというシチュエーションもあるだろう。真剣に聴こうとすればするほど、そういうことは起こりがちである。

前回は、『臨床とことば』の第4章、2番目の見出し「時間のなかの出来事」を取り上げ、語っています。今回の引用は、その半ばあたりに登場する鷲田さんの言葉です。
「あるいは逆に…」の前のフレーズである「分かられてたまるか」については、「あるある」が実感できそうですね。

ただ、「あるいは逆に…」の後に続く文字の流れを一読した際、『コーチング思考』を心がけている筆者としては、「その意味を掴む」ことが出来ませんでした。改めて読み込んでみると… 相手が自分と異なる価値観を言葉にし、そのことを押し付けるように「私の言ってること分かるでしょ!」と、言われた場合は、確かに「分かりたくないというシチュエーション」は起こるな…と「解釈」することで腹落ちさせています。

もっとも筆者はプロコーチですから、「分かりたくない」という感情については「上手にコントロールする」という構えで臨んでいます。哲学者の「言い回し」は、心して臨む必要がありますね(笑)

さて今回は、「文意を掴む」ことがテーマになりそうです。というのも、冒頭の引用から繰り出される、哲学者である鷲田さんの「言い回し」は、探求し甲斐のある文脈だからです。

もっとややこしいこともある。他人の話を聴くときには、相手が「分かってもらえてうれしい」と言ってくれたときでさえも、じぶんはほんとうにこのひとのことが分かっているのか、どうしても分からない、分かったという感触がない……などとなかなか納得がいかないものなのに、じぶんが聴いてもらうときにはなぜか、ああ、分かってもらえたという確信のようなものがしっかり生まれるものなのである。この非対称はとても不思議だ。

いかがでしょうか?
「非対称」という言葉も登場しました。「左右対称で綺麗」という表現がありますが、鷲田さんが指摘する否定の「非対称」は、「隔たりがある」ことを伝えたいのだと思います。
ちなみに経済学では、「情報の非対称性」という専門用語が頻繁に登場します。一方が情報を握っており、関係する他者に対して情報が開示されていない状態のことです。このことによってさまざまな弊害が生じます。

鷲田さんは、自分と他者が「分かり合う」ことの困難性を語っています。ただ「聴く」という行為について、「聴いてくれた」と相手が感じると相手は喜んでくれる(自分は分かったという感触がなくても)、一方で相手が自分に変わり、同様に「聴いてくれた」と感じると嬉しい(相手は分かったという感触がないかもしれないのに)、ということですね。

CBLコーチング情報局は「“傾聴”はスキルを超えたスキルである」、と捉えます。
「非対称の不思議を解明」した鷲田さんの次の言葉を引用して、今回のコーチング解説を終えることにします。

結局、じぶんとの関係がどうこうということを離れて、つまりじぶんが言ったことが承認されるかされないかは別にして、それでもじぶんのことを分かろうと相手がじぶんに関心をもちつづけてくれることを相手のことばやふるまいのうちに確認できたとき、ひとは「分かってもらえた」と感じるのだろう。理解できないからといってこの場から立ち去らないこと、その姿勢が理解においてはいちばんたいせつなのだろう。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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