しかしもし「理解」ということが、他人と同じ気持ちになること、より具体的には他人と同じように感じたり、同じように考えたりすることだとしたら、そのようなことはひとりの人間にはおそらく不可能なことであろう。
『臨床とことば』の第4章は、河合隼雄さんと鷲田清一さんの対話である第2~3章を終えて、鷲田さんの一人語りとなります。前回までの数回は、その第4章を飛び越え、鷲田さんが河合さんにオマージュを捧げる「文庫版あとがき」について語っています。
今回より、第4章にある「11の見出し」で構成される鷲田さん(日本の哲学界のオーソリティーです)の「言葉」を、一つひとつ丁寧に辿ってみようと思います。冒頭は、その最初の見出し「他者の“全人的理解”?」の中の一節です。
さて、「哲学者とは?」と尋ねられた場合、皆さんは何と答えるでしょうか。一応自分なりの考えを思い浮かべてみたのですが、浅学を自覚していますので、チャットGPTに「最も人口に膾炙している『哲学者の定義』を簡潔に答えてください」と質問してみました。
回答は…
「哲学者」とは、哲学を研究する者のことです。語源は古代ギリシャ語の「フィロソフォス」(φιλόσοφος)で、「知恵を愛する者」を意味します。
「なるほど…」の回答ですね。
これまで筆者は、「哲学者とは“言葉”をどこまでもどこまでも究めつくす」人である、と語ってきました。ただし、『職業としての小説家』である春樹さんも同様ですから、この意味において、哲学者と小説家の違いを定義づけるのはなかなか困難ですね。
その困難に立ちすくみつつも、この第4章を読み込んでいくと…「哲学者とは?」について、その“本質”に近づくことができる感触を得ることが出来ます。その最初の一歩を、「他者の“全人的理解”?」にある鷲田さんの“言葉”に見出してみようと思います。
それに「全人的」ということにも異論がある。ひとは一個の全体としてとらえられるほどまとまった存在できないからである。(中略)
「全人的」というのは過酷な要請である。先に述べたように、ひとはまずひとつの完結した全体としてとらえうるようなものではない。いつまでも疼く過去の外傷(トラウマ)、消えようにも消えないコンプレックス、どうしようもなく反復される無意識の欲動、そしていわゆるたち……。そういう、なぜそうなるのかじぶんでも判然としないままじぶんの<生>をこれまで象(かたど)ってきた性向というものがある。フロイトが指摘していたように、ほんとうに大事なものを隠すためにどうでもいいことばかり憶えているということもある。記憶ひとつとっても鵜呑みにはできない。そんな隙間や暗がりがいっぱいある。その点で、人はじぶんのこともじぶんでは「全体」としては理解できないと言うほかない。……
私たちプロコーチも「言葉」によって、クライアントとの深い関係性をつくり上げていきます。「言葉」一つひとつの意味と重みをしっかりと受けとめ、それを声としての「言葉」に変換してクライアントに届けます。
「全人的」には素敵な響きがあります。鷲田さんの「語る意味」に触れることなく、「安直に」使っていないか? 改めて「言葉とは?」について、考えてみようと思います。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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