(鷲田)
ケアの現場なんかでも、生野学園と同じで、ひょっとしたら食べ物というのが、ものすごくケアの現場なんかのベースにあるのかもしれませんね。
(河合)
だから、生野学園は「あてがいぶち」じゃないんです。いろいろあって、生徒が運ぶんです。ふつうは盆に乗せてパーッと出てくるでしょう? あれ絶対にやらないんです。
前回のコーチング解説より、『臨床とことば』第3章の7番目の見出しである「食という切実なテーマ」を取り上げています。冒頭の引用は、「円谷幸吉」の家族に宛てた遺書が、食の事ばかり書かれていたことに啓発を受けたお二人の話が、ケアの現場にひろがっていくところです。生野学園は、一つ前の6番目の見出しである「“食事”と“性事”」の最後あたりで登場します。
鷲田さんは、父親が介護施設に入っていたときのことを思い出したようで、食堂がどんな雰囲気だったのか…その印象を河合さんに話します。
(鷲田)
……親父の介護施設では、とにかくシーンとしているということと、横からスタッフの人がスプーンで口に入れてあげないと全然自分で食べようとしない。この二つのことが強く印象に残っています。
(河合)
あれだってスプーンで入れてあげないで、自分で食えない人は放おっておくようにしたら、自分で食べたりしますよ。しかも、いろいろあって、早い者勝ちみたいにしたら、だいぶ違うと思いますね。
(鷲田)
つまり、患者さんと思うこと、あるいは、お年寄りと思うことで気力を削っているという……。
ここでの河合さんの口調は、「ちょっと冷たい…」と感じる人がいるかもしれませんね。6月13日にアップした「“共感疲労”に陥らないための“距離感”とは?」で、鷲田さんは「看護師さんなんかでも、一生懸命な人ほど患者さんに密着するあまり、その気持ちに近づかなければならないという強迫から、いわゆる共感疲労になったり…」と言葉にしています。
過酷な臨床現場を数多く経験し、クライアントが立ち直っていく過程を見守り続けた、「河合さんだからこその言葉」であると筆者は推察しています。
そして、鷲田さんの口から「アウシュビッツ」が飛び出すと、河合さんの「想い」はさらに強くなって、2ページに及ぶ持論が展開されました。今回の解説の最後は、その1/3を引用して終えることにします。
(河合)
ともかく全員が同じ物をあてがわれるということほど、人間をだめにする方法はないんじゃないでしょうかね。だから、これは「魂を殺す」のにいちばんいい方法だと僕は思います。
(鷲田)
アウシュビッツはそれをやったわけですからね。いちばんギリギリの物で、同じ物で……。
(河合)
そうです。このごろ変わってきたなと思いますけど、昔、養護施設の子どもたちに、ノートなどをあげるわけですね。でも子どもたちは大事にしないんですよ。なぜかと言うと、皆同じノートをもらっている。それで、ある施設ではノート代を渡して自分のを買いに行かせたんですよ。皆、いっぺんに大事にし出した。皆違うノートを持っているわけでしょう? 自分が買ってくるわけですから。それはだれかと一緒になるかもわからないけどもね。一人300円だったら300円のノートを配るわけですね。鉛筆でも全部そうです。すると、すぐなくしてしまったりする。ところがお金を渡して自分で買いに行くようにしたら、ものすごく変わるんですね。だから、食べる物でもちょっと変えるだけで違うでしょうね。……
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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