河合俊雄さんの「からだが魂ちゃうか?」に目からウロコが落ちた!

(鷲田)
私、先生と向かっていろいろじっくりお話しさせていただくのは今日がはじめてなんですけど、実は、先生の長男でやはり臨床心理学者の俊雄さんとは面識があります。あるとき彼がふともらしたことばに目からウロコが落ちました。と言いますのは魂の話で、私はずっと、心とからだの関係を哲学史の中でいろいろ勉強してきたわけです。心とからだの関係があって、魂はからだと別のところで考えてたんですけど、彼がボソッと変なこと言うんです。……

臨床とことば』の文庫版表紙デザインは、明朝体の大きな文字で「河合隼雄×鷲田清一」が右側に、タイトルは左側に配置されています。同書を引用しながらの「コーチング解説」は、今回で17回目なのですが、河合さんと鷲田さんのプロフィールについては、特に紹介していなかったので、Wikipediaの冒頭を引用することにします(Wikipediaの人物紹介の冒頭は、形式・文字数などパターン化されています)。

河合 隼雄(かわい はやお、1928年〈昭和3年〉6月23日 – 2007年〈平成19年〉7月19日)は、日本の心理学者。教育学博士(京都大学)。京都大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。文化功労者。元文化庁長官。国行政改革会議委員。専門は分析心理学(ユング心理学)、臨床心理学、日本文化。

鷲田 清一(わしだ きよかず、1949年9月2日 – )は、日本の哲学者(臨床哲学・倫理学)。評論家、大阪大学名誉教授、京都市立芸術大学名誉教授。せんだいメディアテーク館長、サントリー文化財団副理事長、京都コンサートホール館長。関西大学文学部教授、大阪大学総長、京都市立芸術大学理事長・学長などを歴任した。

単行本の『臨床とことば』は2003年に刊行されています。「CBLコーチング情報局」で河合さんの著作を最初に取りあげたのは、去年の7月12日でした。研究者としての河合さんの足跡(学術研究)をアンソロジーとして、2009年5月より2010年3月の間に発刊された『<心理療法コレクション>Ⅰ~Ⅵ』を考察することから始めています
この6冊のいずれも最後に、河合さんの長男である、元京都大学大学院教授(現京都大学名誉教授)の河合俊雄さんが「<心理療法コレクション>刊行によせて」を書かれています。

本コレクションは、私の父であり、ユング心理学を日本で最初に本格的に紹介した河合隼雄の「心理療法」についての著作の主なものを、一般読者に手に取りやすい文庫という形で提供しようとするものである。2006年8月に突然倒れ、意識不明のままほぼ一年後の2007年7月に亡くなった父は、少なくとも意識的には何も死の準備などできなかった。生前の仕事の仕方からして、残念ながらほぼ何の遺稿も残っていない。残された仕事を出版するすべもないなかで、このコレクションの出版には追悼の意味もこめられている。

今回で、河合さんについて綴るのは、231話目です。河合さんはご自身の兄弟(特に兄)については、よく話されるのですが、妻や子どものことは言葉にされません。意外な印象です。ただこのことは、身近な家族を例に出し、カウンセリング(心理療法)を語ること回避しようとする思いが、その背景にあるように筆者は感じています。臨床心理学を「普遍的なもの」として確立されようとする心持であると、筆者は解釈しています。

さて冒頭の引用です。この箇所は、第2章「聴くことの重さ」の最後の見出し「事例研究と文学の違い」の中で、鷲田さんが河合さんの長男である河合俊雄さんのことを、思わず口にするシーンです。話手がある人物のことを語る場合に、日本語はその人物との関係性が如実に把握できる言語だなあ~と、実感できますね(笑)

鷲田さんは、同世代の河合俊雄さんを「彼」と呼びます。「同僚」であり「友人」です。一方で、河合隼雄さんに対しては「先生」となります。ただし、その関係は「対等」であることが、しっかりと伝わってくるのですね。

河合俊雄さんは、父親である隼雄さんと同じ世界を自らの道として選択され、日本の臨床心理学の発展のために意を注がれています。鷲田さんが「目からウロコが落ちた」という、冒頭の引用の続きを、最後に紹介しましょう。鷲田さんの「熱き語り」に、父親の河合さんも「熱き受容」で応えます。

(鷲田)
これはユング心理学の理論に入っているかわからないんですけど、「からだが魂ちゃうか」と。で、その中を私というのが出入りしているんちゃうかと。今までそういう発想をしたことがなかった。自分と魂をくっつけて考えるけど、自分と魂を離し、魂と身体をくっつける。(中略)
われわれが思うに、それは考えているところにある。足を組んでいたら太ももにある。目をぐあーっとあけたら、目にある。唇をかみしめたら、唇にある。魂というのは、からだの折合わさった、自分と自分が接触するところ、そこにあって、たえず身体のいろんなところに移動しているんだと。
(河合)
面白いね。
(鷲田)
そして、それの地図を書いたのが、刺青だと。つまり日本の物語絵の刺青ではなくて、プリミティブな社会の、幾何学模様の。あれは実は魂の地図を描いたんだと。
(河合)
すごいねえ。それはすごい。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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