今回は、『大人の友情』の10番目のテーマ「茶呑み友だち」の3話目のエッセイを取り上げます。河合さんは、この3話のタイトルを、テーマ名称と同じ「茶呑み友だち」としています。1話目のエッセイタイトルは「中高年者の嘆き」、2話目は「オートミールの愛」であり、1話、2話のタイトルからは、「茶呑み友だち」のイメージが伝わってこなかったのですが、前話の最後に、「そのこころは?」に河合さんは答えてくれました。
もっとも、勘の鋭い方は、「オートミールは米国を象徴する食だから、それと極めて日本的な“茶呑み友だち”とを結び付けるのかな?」と、感じたかもしれませんね。
河合さんの意図は、まさにその通りでした。
こんな話を聞いているうちに嬉しくなって、「オートミールの愛」が日本にあるかどうかはともかく、日本には「茶呑み友だち」という表現がある、と言うと、それは面白いから説明しろと言う。茶呑み友だちについて、私なりに勝手なことを言っているうちに、いろいろと考えることが出てきた。
さて、この3話の書き出しは次の通りです。
日本には「茶呑み友だち」という表現がある。これは文字通り、茶を飲んで語りあうような友人関係のことを言う場合と、高齢になって性関係を伴わない夫婦関係を表すときがあり、中高年者同士が「茶呑み友だち」として結婚する、というように表現する。
夫婦の絆として、激しさがなく静かであるが深い感情の結びつきがあることを、「茶呑み友だち」の夫婦の存在が示している。そして、ここで「茶呑み」という表現があるように、行為として特別なことがあるわけではなく、それは日常茶飯事によって支えられていることも示している。まさに「オートミールの愛」である。これはどういうことなのであろうか。
この『大人の友情』は、河合さんの最晩年のエッセイ(集)です。人の心理に深く分け入っていく臨床心理学者は、「性」を語ることが「当たり前の仕事」として要請されているようにも感じます。
深層心理学、臨床心理学の父たる存在はフロイトですが、その著作は「性」に満たされている、と言っても過言ではありません。ユングもまたフロイトとは異なる世界観で「性」を語り続けました。そして、フロイト理論に反旗を翻し、その闘争を経て、臨床心理学の新たな世界を世に確立させたロジャーズも、あけすけに(真面目に)、妻ヘレンとの性生活の「リアル」を語っています。
河合さんも、世界の権威と違わず、晩年に至って、「性」を語る比重が増していきます。もっともそこには、フロイトやユングやロジャーズと異なり、日本人の河合さんは、日本的含羞と、独自の諧謔を湛えて、「性」を語ってくれます。河合さんの「性」は、安心して読むことが出来る…(笑)
最後のパラグラフを引用して、10番目のテーマ「茶呑み友だち」の解説を終えることにしましょう。
異性愛にしろ同性愛にしろ、体の関係を伴うときは、理性でコントロールできない衝迫性や、何とも不可解な抑制し難い合一への欲求が生じてくるので、単なる友情とは異質の感じがする。人間でありながら、神に近い体験や、動物に近い体験をすることができる。したがってそれは「深い」関係と言いたくもなるのだが、ここが人間の不思議なところで、体の関係に重点がかかりすぎると、心の関係の方は浅くなったりしてしまうのだ。だからこそ、中世のロマンチック・ラブは性関係を禁じたのであろう。体の関係を禁じることによって、心の関係を高めようとするのである。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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