キリスト教文化圏は「通念の変化」を「法律」と一体化させていく…?

今回の解説は、河合隼雄さんの『大人の友情』の9番目のテーマ、「友情と同性愛」の最終話である、「社会的通念の変化」を取り上げます。これまでの3つの話は、河合さんが「臨床心理学」を学ぶことで、自身の「同性愛」に対する眼差しに変化が生じたことが、語られていました。

第1話で、「当時の私にとっては、同性愛は“異常”とまでは言えないにしても、異性愛の方がほんとうで、同性愛は“治す方がよい”と思っていた」と、河合さんは振り返ります。31歳の頃(1959年米国留学時)の「同性愛」観です。

米国留学を経た河合さんは、本格的に「臨床心理学」を学ぼうと、1962年にスイスのユング研究所に留学します。第2話では、河合さんの「気づき」が語られます。

リックリン博士の述べたことは私にとって極めて衝撃的であった。ついでに言っておくが、と彼は断って、同性愛の場合、心理療法によって異性愛へと変化する方がいい例と、同性愛を治そうなどと思わず、同性愛のままで、その人の自己実現をはかることを考えた方がいい例とがある。

河合さんは第3話で、「心の合体」と「体の合体」という、心理学者としての独自の視点で、「友情と同性愛」について言及し、そして最終の4話で、自分自身の変化と、社会通念そのものが変化してきたことを照らし合わせ、筆を進めていきます。冒頭を引用します。

同性愛に関する社会的通念は、最近になって急激に変化した。これらは、特に、キリスト教文化圏においては、修正すべき、あるいは、恥ずべき異常なこととされていた。アメリカの州によっては、「犯罪」とされるところさえあった。それが、最近では、人間の愛の在り方のひとつとして認められ、アメリカの一部の州では、同性の結婚を許すようにまでなった。
このため、欧米では同性愛関係を公にする人が増えてきた。誰かを招待すると、その人が同性の「パートナー」を同伴して現れる、ということも増えてきた。

河合さんの通底する視座は、「欧米文化と日本文化の対置」です。キリスト教文化圏の特性なのでしょうか、「通念の変化」を「法律」と一体化させることで、オーソライズさせていく、という手法です。「あいまいさ」を嫌う欧米文化の“価値観”が見て取れます。

アメリカ人の同性愛のカップルを見ていると、それが公に認められたということもあって、性的な関係の方に心を奪われて、そこには、心の融合体験はほとんど生じていないのではないか、と思われる……

ついでのことだが、欧米の同性愛のカップルを見ていて感じることのひとつに、どちらかが、男役、女役となるために、彼らは、従来の「男らしい」「女らしい」ふるまいをすることに意を注いでいるようにも感じられる。

河合さんは、「男女同権の思想が一般に広まったことによって、恋人であれ、夫婦であれ、お互いに愛しあうときは“対等”でなければならない、と考えるようになったのでは」、と指摘し…

このことは確かに間違ってはいないが、その実際の在り方としては、どこかに無理が生じてきて、男も女も愛しあうことのなかの緊張に耐え難い、ということも生じてくるようだ。

と、論を展開します。

ところで筆者は、「友情と同性愛」というテーマを、一つの見識としてまとめていくのは「難しいだろうなあ…」と、感じていました。
河合さんがエッセイのなかで語る“思想”は、コーチングの“本質”につながっていることが、鮮明にイメージできることもあって、『大人の友情』を取り上げ、解説を進めています。
筆者としても、この9番目のテーマを、何とかコーチングに敷衍しようと考えていたのですが、河合さん自身がこの4話の最後でコメントされているように、当該テーマの「難易度の高さ」を実感しています。

「4つ話によって筆者の理解も深まった」、という感慨を添えることで、「友情と同性愛」のテーマ解説を収束させていただこうと思います。

今回は友情を考える上で「同性愛」を取り上げたので、友情ということから話が他に広がり過ぎた感じがするが、やはり、セックスというものが人間に対してもつ力は強く、このことのために、話題を広げざるを得なかったといえるだろう。
友情の背後に、エロスやセックスがはたらくことは認めざるを得ないので、このような考察によっても、友情の在り方についての理解を深めることができたであろう。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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