河合隼雄さんの『大人の友情』を取り上げ、解説を進めています。前々回は、大きなテーマの「男女の友情は成立するか」の1話目である「友情を破るもの」、そして前回が、2話目となる「恋愛の強さ」です。「起承転結」の前半…「起」と「承」が語られました。今回は「転」となる「性の二面性」です。
性の欲動は強く烈しい。人間にとってこれにどう対処し、どう考えるかは、なかなか厄介なことである。宗教において、性をどう考えるかは重要なことであるが、ここにはまったく対立する考えがある、と言ってよい。
「宗教」の定義は一様ではありません。河合さんは世界の宗教を俯瞰し、「性」との関わりを抽出します。
周知のようにキリスト教は、性に対して非常に厳しい。仏教もキリスト教とは考えは異なるが、性に対しては厳しいと言えるだろう。これに対して、古代バビロニアでは、むしろ、性は宗教性に深く結びつくものとして考えられる。簡単に言ってしまうと、人間の理性を重視するときは、性の衝動はそれを突き破るものとして低く評価されるし、人間の自然の姿を重視するときは、その根本に存在する力として、性を高く評価することになる。
フロイトは、「性の力は抗い難い」ことを痛感し、それを放置してしまうと社会生活が破綻してしまうとの思念に至ったのでしょう。つまり「性」は反社会的であるとして、それを「自我」と「超自我」によって制御しなければならない、と説きました。フロイトが創始した精神分析は、何でも「性」に結びつけてしまう、との指摘もありますが、フロイトは「性」を遠ざけようとして、逆説的に「性」に囚われてしまっていた、とも解釈できそうです。
フロイトは「性」を語り続けたことから、その人となりを誤解する人も多いようですが、理性的で「まじめ」な人格であったことを付記しておきます。
一方で、ユングは「性のもつ巨大な力」を、まるごと、そのまま受容します。
ユングが、性は天国から地獄まで存在していると言ったが、まさにその通りで、精神の高みとも結びつくし、単なる肉体とも結びつく。実にいろいろな見方が可能なのである。
河合さんは、ユングが「性とは相補性そのものである」と、捉えていることを全面的に受けとめます。河合さんは、ともすれば「不倫」となるかもしれないシチュエーションを設定し、シミュレーションを試みます。ストーリーは「転」に移行します。
そのとき、同性同士の友情と同じだろうか。やはり、友人と言うものの、そこに相手の「異性」としての魅力を感じるだろう。「異性」としての魅力を感じているなら、それは恋愛で、本心を隠しているだけではないのか。
このあたりの判断はなかなか難しい。しかし、別に恋心があったとしても、それはそれでいい。それに従って実際に行動することは抑制し、友人としてつきあっているうちに、「性」の持つ精神性によって高められ、それは、純粋で美しい友情へと昇華することはないだろうか。
河合さんはこの後で、「ロマンチック・ラブ」を解説します。これは、中世ヨーロッパの騎士の間で広がっていった、性的な欲望を抑えることを第一義とする「恋愛至上主義」のことであり、今日では「社会学」の範疇で研究されています。
俗化が進む現代社会では、その「主義」がそのまま受け継がれていることはなく、その名残として、「愛がなくなれば結婚を続けるわけにはいかない」という、真面目(?)な結婚観に遷移したことを河合さんは指摘します。
激しい華やかな恋愛感情は、既に述べたように非常に強く、他のすべての関係を凌駕するが、それが成就された後、長続きしないのがその特徴である。となると、アメリカのように離婚・再婚を繰り返すか、どこかの国によくある別居結婚による存続を図るか、いずれかしかないのだろうか。
河合さんは、次の「結」となる「異性間の友情」につなげるかの如く、「転」の最後を次のようにまとめています。「性」のもつ不可思議さについて、河合さんの語り口はとてもいいですね。結婚を長くつづけているうちに、いつの間にか「夫婦」も「家族」に転じていく…?
ここに、友情が登場してくる。結婚生活を支えるものとして、恋愛よりも友情の方が強くなってくるのだ。とは言っても、友情をベースとするが、恋愛を否定するのではない。両者はもちろん共存していいし、共存する方が面白いだろう。「性」ということのもつ不可思議さが、強められるよりは薄められることによって、夫婦の関係はますます安定したものになるだろう。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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