「内的権威」をテーマとするコーチングセッションを展開してみよう

河合隼雄さんのエッセイ集である『こころの処方箋』の45番目のタイトルは、「権力を棄てることによって内的権威が磨かれる」です。

前回の解説でも、以前アップした内容を振り返っていますが、今回は、「日本的民主主義の功罪について詳細に研究することが必要」の中で、次のようにコメントしたところを再掲することから始めたいと思います。

いかがでしょうか。少し長い引用になりましたが、これまでの河合さんの語り口と比べ、大変厳しい筆致です。55のエッセイで構成されるこの本は、後半になって「権力」など、カウンセリングを語りながらも、広く社会、日本文化をテーマにした内容が目立ってきます。

この45番目のエッセイで河合さんは、「権力とは何か?」を4ページにわたって記述します。とても大きなテーマです。河合さんは、「日米の文化比較」から当該エッセイを開始します。

日米の文化の比較研究がいろいろ行われるが、そのなかでつぎのようなことがあった。たとえば、「勇気」とか「優美」などのような単語について、どの程度好ましいと感じるか、好ましくないと感じるか、という調査をしたが、日米で評価が逆転する語があった。それが「権威」(authority)という単語で、米国では好ましい感じの語とされるのに対し、日本では好ましくない感じの語とされるのである。

河合さんは「勇気」を「ハードとソフト」の視点で紐解き解説しています。そして「権威」については、河合さんの思想家としての姿が感じられる「中空構造」という概念を世に提起しました。以前の解説で取り上げていますので、参考にしていただければ幸甚です。

当該エッセイでは、「教師と生徒」を中心に、「親と子」「上司と部下」の関係を例に、表層の権威は、簡単に失墜することを語ります。

ところで、生徒の誰かが質問をして、その考えが意表をついているため、教師が困ってしまうときがある。そんなときに、「馬鹿な質問をするな」と頭ごなしにそれを無視しようとすると、生徒は黙ってしまうかもしれない。このとき、教師は権力によって権威を守ったつもりでいるのだが、生徒からすれば、教師の権威が失墜したことは明瞭なのである。

河合さんは、タイトルの意味をここで記述します。「君の質問は面白いが、今すぐには答えられない。来週までに考えてくる」と言い、来週にそれなりの答えをすると…

権力を行使することなく、自分の権威を守ったことになるし、ひょっとして、その権威は高まったことになるかもしれない。しかし、権力を行使してその場をごまかしてしまうよりは、後で自分なりに調べたりする労力が必要である。このような労力を惜しまないことによって得た権威は、自分の身についたものとして、他人に奪われることがないのである。

このエッセイのキーワードは、河合さんの言葉である「内的権威」です。

ここで述べたことは、親と子の場合にも、上司と部下の場合にも当てはまる。内的権威の特徴は、いつ誰によっても奪われることがない点にある。いかに強力な権力も時によって、実にあっけなく奪われることは、最近の世界の出来事を見ていてもよくわかる。

「ノブレス・オブリージュ」という言葉があります。「高い地位にあるものは、それに伴う高い義務を有する」という意味です。河合さんは「急に妙なところで権威者ぶろうとしたり、権力にひそかにしがみついたりしている人は実に多いものである」と、言葉を重ねます。
エグゼクティブコーチングの中で、「内的権威」をテーマとして対話を進めていくと、有意義なセッションとなるかもしれませんね。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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