霊的なものを大事にする人たちというのは、頭が悪い…?
(中沢)…… 今日の文明は、やはりユダヤ的な知性が大きくリードしてつくられているわけで、そういう世界のなかでは、ユングのように霊的なものを大事にする人たちというのは、頭が悪いと言われるわけですね(笑)。(河合)そうなんで...
(中沢)…… 今日の文明は、やはりユダヤ的な知性が大きくリードしてつくられているわけで、そういう世界のなかでは、ユングのように霊的なものを大事にする人たちというのは、頭が悪いと言われるわけですね(笑)。(河合)そうなんで...
(中沢)……その人たちは非常に頭がいい。語学もできるし、分析力も非常にある。けれどもチベット人のお坊さんたちにいわせると、あの人たちはわかっていないという点があるんです。重要な一点なんですけれども、それがわからないんです...
(中沢)…… 一向宗の場合は、同じ一神教といっても縄文的な一神教というか、あれをやっている人たちというのは、職人さんとか山で生活をしている人とか、そういう人たちが多いですからね。そのベースになっている宗教というのは、縄文...
(中沢)今の科学者はそうでもなくなってしまったけれども、草創期の科学者というのは、みんなが夢をもちヴィジョンをもっていましたよね。あのヴィジョンに、僕はほとんど宗教に近いものを感じるんですけれども。(河合)そう思いますね...
(河合)その一神教の流れが自然科学なんですよね。みんな、それだけを信じているわけです。(中沢)河合先生はこのあいだ新聞に、神様はたくさんいるんだということをお書きになっていましたね。人間の無意識のなかにいろいろなパターン...
(河合)しかし、神の声を聞いたときに、それが絶対正しいとは思わないところが、いわゆる宗教とは違うところですね。(中沢)そうですね。ですから一神教のそういうものを信用すると、世の中がすごく陳腐なお話になってきますよね。ノス...
(中沢)ところで夢殿というのはどうなんですか。聖徳太子が籠ったとかいろいろなことが言われていますが、ああいうものは、明恵さんの夢に対する関心などと深いところでつながっているものなんですか。 今回より、河合隼雄さんと中沢新...
線路にそってホテル全体がゆるやかにカーブしていくような、東京ステーションホテルの小さな一室で。数年前に『華厳経研究会』という集まりが開かれていて、そこに呼ばれていったぼくははじめて、河合隼雄先生にお会いしたのだった。仏教...
(河合)…… チベットでは、夢は相当大事にするんですか。(中沢)いろいろなレベルがあるんですよ。普通の民間伝承みたいな夢理論もあります。夢のなかで花が出てきたら近いうちに奥さんが妊娠するとか。その手の話というのも、とても...
(中沢)勝ち負けじゃないんだ。(河合)そうそう、そうそう。(中沢)老人の叡智ですね(笑)。(河合)僕は多神教の倫理を、そのように考えているんですね。(中沢)だから、均衡点を見つけてということですね。(河合)そうそう。 河...
(河合)…… そうすると、神さん同士で決着をつけてくれと。つまり人間の考えで決着をつけない。そのときにゼウスというのがいるんです。ゼウスは、あれ、ほとんど権力は持っていなくて、うろちょろうろちょろしているんだけど、なんか...
(中沢)神がイエスを見捨てたから、イエスは殺された。ところがそれで、人間は負債を背負うことになった。ところが、この時神がイエスをSFXばりのやり方で救ったりしたら、人間はべつに、負債を負うこともなくて、宗教も生まれなかっ...
(河合)まったく話は違うんですが、心理療法家としての体験で言うと、いわゆる倫理的なことを破っているような人たちに会うのが多いわけです。(中沢)そうですね。(河合)むちゃくちゃやっている人に会う。その時に、いや、死んじゃだ...
(中沢)十戒を見ても、かなり神様の個人的な趣味がかかわっているなと思うところがある。(河合)ほんと、ほんと。(中沢)もしちゃんとした法を人間に与えるのなら、もうちょっと目配りを平等にやってもらいたいと思うのに、なぜか、主...
(中沢)スピノザも最終的にはニルヴァーナへ行くと思います。つまり、生命は快不快原則でできていて、ホメオスターシスが守られていれば快です。ところが、これが破られれば生物は不快になる。僕らも、カルシウム濃度があんまり低くなる...