「折り畳まれている膨大な知識」は、プロの話手によって引き出された!
(中沢)…… イスラム教の場合だと、アッラーのほかに神はいないということでしょう。それもたしかにその通りだと思います。アッラーのほかに神はいないと言っているのは、神々はたくさんいるかもしれないけれども、アッラーが神だとす...
(中沢)…… イスラム教の場合だと、アッラーのほかに神はいないということでしょう。それもたしかにその通りだと思います。アッラーのほかに神はいないと言っているのは、神々はたくさんいるかもしれないけれども、アッラーが神だとす...
(河合)最近、イスラムのことを読んで思ったんだけど、たとえば人間が自然に対してどのように接するかというときに、キリスト教は「神、人、自然」、イスラムは「神、それに対して、人と自然一体」、アニミズムは、みんなぼーっと円環的...
(中沢)…… 迫害の歴史がないというのは、一つは仏教教団が現世を否定したり、現在の社会制度を否定して生まれ育ったものではないということが関係しているんじゃないでしょうか。社会を否定も肯定もしないわけですから。ブッダが最初...
(中沢)ブッダは、イエスの生涯と比べると、まあ起伏のない人生と言えば起伏のない人生だったと思いますね。(河合)もう一つ面白いのは、迫害の話がないんです。大体は迫害されなかったら宗教ではないぐらいでしょう。ムハンマドはもち...
(中沢)…… イスラムの場合も、『クルアーン』自体が矛盾をはらんでいて、この矛盾にどう調整をつけるかという、大人の処方が、イスラムの根底にはあります。この二つの考え方と『新約聖書』の考え方を比べてみますと、『新約聖書』の...
(中沢)きょうはそこで仏教と長生きの話をしようと思います。梅原猛先生などよく「イエスの教えは青年の思想だ。あれは三十代の思想家だ」とおっしゃいます。三十代の初めに残念ながら殺されてしまった。ところがブッダは八十歳まで生き...
(中沢)わかりやすいし、普遍的なんだと思うんですね。ところがキリスト教と仏教はちょっと違うところがある。河合先生、先ほど「ブッダは悟りを開いてから梵天がお願いするまでずうっと黙っていた」っておっしゃいましたけど、実際はそ...
(中沢)最近では『コーラン』ではなくて『クルアーン』と言った方がいいのかな。イスラム教の聖典『クルアーン』を読んでいると、天理教のご教祖の中山みきさんが神様から言葉を受けたときとか、大本教の出口ナオさんとか黒住教の黒住宗...
(河合)それを読んで目幸さんと話したんです。僕がいちばん感激したところは梵天勧請のところで、「ブッダは自分の知ったことを人に言う気がなかった」、あそこにいちばん感激しましたね。梵天に言われてブッダは悟りの内容をとうとう言...
(中沢)しかしそれもワーグナーを頂点として、旧大陸では解体現象をおこし始めます。そして、新大陸へ渡ったプロテスタント原理は、巨大な帝国としての別の発達を遂げるようになった。何かの補償作用がおこっています。それがアメリカを...
(中沢)それ以前はバロック建築やバロック彫刻として、神話は確実に視覚のなかに生きていた。それと同じようにプロテスタント諸国でそこから発展が始まっていく音楽というのは、神話の性質を持っていて……。(河合)音楽史を考える上に...
(中沢)僕はイスラム教がけっこう好きです。素朴で単純なものを愛するアジア人の体質を感じますから。イスラム教の寺院へ入っていくと、非常にすっきりしています。(河合)そうですよね。偶像が一切ありませんから。(中沢)ヒンドゥー...
(中沢)ブッダは「自分の前に七人のブッダがいた」ということをしきりに言いました。この七人のブッダたちは誰かと言えば、サキャ族というちっちゃい部族国家の伝統のなかに、悟りを開いた知恵のある人びとが自分の前にも七人いた。だか...
(河合)いやあ、よくわかります。さっきのモンゴルの話も面白いねえ。シャーマニズムが本当に巨大化して、こんな大きいやつがあるんだったなということでみんな急にそこでインパクトを受けてねえ。つまり、僕は人間は「俺がやった」と言...
(中沢)世界を分類したり、秩序づけたりする思考が一方にあり、もう一方には秩序を突き動かしながら流動していくものに身をまかせていく忘我のトランスがあり、その二つはどちらも人間の心に最初からセットしてあったもので、この二つの...