お金が増えると「幸福量」も増大する…のだろうか?
(中沢)この世界のなかに永遠を繰り込むことは絶対にできない。(河合)できない。(中沢)ところがキリスト教は永遠を繰り込んじゃうんだろうと思うんです。(河合)仏教的に言わせると、それは錯覚なんやけどね。 河合隼雄さんと中沢...
(中沢)この世界のなかに永遠を繰り込むことは絶対にできない。(河合)できない。(中沢)ところがキリスト教は永遠を繰り込んじゃうんだろうと思うんです。(河合)仏教的に言わせると、それは錯覚なんやけどね。 河合隼雄さんと中沢...
(中沢)貨幣というものが初めてつくられたとき、ギリシャ王のミダス王が、「貨幣(黄金)は大地を殺す」と言って怒ったそうです。(河合)ああ、それはそうです。まさに貨幣は大地を殺します。(中沢)大地を殺して何が残るかというと、...
(河合)ヨーロッパの人に僕が「あなた方、本当に本気では、一回限りの復活を信じられないでしょう。…… 河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』第5章<幸福の黄色い袈裟>の6番目の見出し、<貨幣と神は似ている>の書...
いつもは冒頭で『仏教が好き!』のなかの一節を引用するのですが、今回は趣を変えることにします。高市早苗政権が誕生し半月が経過しました。コーチングを語るにあたって、公明党が自民党との連立を離脱してからの「政局フィーバー」につ...
(中沢)…… 日本仏教というのは何かと言ったら、何千年、何万年来のアニミズム的な考え方と仏教の哲理が合体したときに、ようやく日本人が納得するものができた、それなんですね。そしてそういう仏教の考え方を取ると、安心が得られる...
(中沢)…… いちばんの典型は、浄土真宗じゃないでしょうか。御仏に対して御恩をいつも感じている。報恩の感覚ですね。「私たちがこうしているときも、御仏は私たちを見守って、いろんなものを与えてくれている。この御恩を感じ取れな...
(中沢)……「日本仏教」と言われているのはいったいどういうものかと言ったら、中国やインドから非常に高度な思想が入ってきたわけですが、高度な学問として追求される時代が長く続きました。でも、それでは日本仏教として根づきません...
(河合)だから僕が言うてるとおりだったら、もっと日本人はイライラしたり、喧嘩がおこったりするはずやけど、あんまりしていないでしょう。これはやはり意識的にまだどこかで仏教的なんです。(中沢)安心があるんですね。 河合隼雄さ...
(中沢)いまのダライ・ラマも、自分は再生しない、と言っているようですが、お釈迦様の沈黙はそれにもまさるすごさです。(河合)それもすごいと思いますね。釈迦にとっては輪廻するかしないかは問題でないのですね。輪廻するかしないか...
(中沢)…… こう教えるんですね。「あらゆる生き物が楽になりたい、と思っている。でも楽になるためには正しい方法を知らないので、苦しみから逃れることができないでいる。仏教はそこで、本当に楽になるための正しい道を教えるのであ...
(河合)まさにそのとおりで、一家言どころか、何家言もあるんですよ(笑)。というのは、僕の職業も幸福に非常に関係する職業と思われているわけです。言うなれば不幸な人がカウンセラーに会って、幸福の道を見出すというのがいちばんみ...
(中沢)そのあたりですね、ポイントは。「我執を捨てれば幸福になれる」という言い方そのものが、西洋的幸福と東洋的安心の間でよじれちゃってる。仏典をいろいろ見てみると、「幸福」にあたる言葉はなくて、いちばん近いのが「楽」とい...
(中沢)今日のテーマは「幸福」です。黄色いハンケチをたなびかせて女の人が待っていてくれるんじゃなくて、黄色い袈裟のお坊さんがお寺で待っていてくれる、それが仏教の幸福だって話にしたいんですが、どうもいくら調べてみても、仏典...
(中沢)親鸞の話ですが、日本の仏教が親鸞までいくと、結局、日本人が、それこそ縄文時代から持っている自然感覚とか、人間についての思いとか、そういう場所に着地していくんですね。「癒し」ということで言ってはいけないかもしれない...
(中沢)いまの子どもたちは一種のプチグノーシスをやっているんだと思います(笑)。「この世界、違うんです。こんなのいやなんです」と言っているわけですから。(河合)そうです。いや、ほんまそうですよ。(中沢)これを生み出してい...