目の前に居るクライアントは統計の「平均値」ではなく、唯一の存在!
(河合)…… ところが、「私がうつ病の薬の効かない人に会って話をしたら、三年かかって治りました」という事例研究を発表すると、大勢聞きにくる。そして非常に面白いのは、僕がうつ病の話をしているのに、うつ病でない子どもの治療を...
(河合)…… ところが、「私がうつ病の薬の効かない人に会って話をしたら、三年かかって治りました」という事例研究を発表すると、大勢聞きにくる。そして非常に面白いのは、僕がうつ病の話をしているのに、うつ病でない子どもの治療を...
(河合)人間というものは、たとえば薬で原理的に治るにしても、その治った人間がどのように生きていくかは、脳の問題ではなくなります。治った人間がどういう人生観を形成するかも、脳の問題ではありません。それはどうしても心の問題と...
大脳生理学・脳科学の著しい発達によって、人間の精神・身体に生じる、さまざまな「不思議」が「科学的に証明」されるようになってきました。前回はその流れを綴っています。フロイトやアドラー、そしてユングは、「科学的に解明される」...
(河合)ところがアメリカの最近の研究では、薬で治った人は再発率が高い。それで薬と心理療法を併用した人は再発率が少ないことがわかってきました。この頃、治療もまた変わってきたんです。薬があまりに効いたから心理療法は必要ないと...
(河合)曼荼羅の話、とても面白かった。もう少し若かったらがんばるんだけど、この頃は量子力学とかそういうものをやる元気がないから。心理学のほうに行きましょうか。心の構造の話。唯識のほうです。(中沢)西欧で発達した心の科学は...
(中沢)量子論を見ていても、ハイゼンベルクのマトリックス力学は、はやらなかったし、評判もいまいちでした。計算がむずかしい。でも、そこには思想的に見たら、とても重大なアイディアがつまっています。そういうところは残念だなあ。...
今回は、生成AI(Copilot)と「リフレーミング」をテーマに哲学的対話を交わしてみました。「一問一答」です。紹介します。 <生成AI(Copilot)の知見を引き出す問いかけ(プロンプト)>河合隼雄さんと中沢新一さん...
(河合)そういうふうに考えていくと、密教のことを科学とか心の構造とかと照らし合わせながら、さらに勉強しないといけません。僕はどうも勉強不足ですが。(中沢)いろいろ宗教のことを勉強して言えるのは、たいがいの宗教は順調に発達...
(中沢)…… やっぱり今、日本で語られている両界曼荼羅の考え方というのは、空海の独創と考えていいと思います。空海はその考え方を土着的な山岳信仰の伝統と、もう一つ、若い時から深く親しんでいた華厳の思想との影響から着想してい...
(河合)いま言われたけど、インドでは胎蔵界と金剛界は別だったんですか。(中沢)別でした。時代も違いますし、それぞれの考え方を発達させるグループも違いました。インドで仏教大学というものができるようになりますと、そこでは二つ...
(河合)曼荼羅に胎蔵界と金剛界があるでしょう。あれはどう考えたらいいんですか。 今回は、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の最終章(6回目の対談)<大日如来の吐息…科学について>の5番目の見出し<空海の天...
前回は、アインシュタインたちが提起した「EPRパラドックス」(1935年)について解説してみました。パラドックスとあるように「量子論(量子力学)」の帳(とばり)が開かれる歴史の始まりの頃、「理論の不完全性」に“疑問”を呈...
(中沢)曼荼羅の内部では、一人ひとりの、どんな細部に潜んでいる小さな神様も、それぞれが勝手に動いています。しかしその一人ひとりの動きは、ただちに全体につながっていきますから、勝手に動きながら、真ん中にいる大日如来の意図と...
(河合)大日如来は『華厳経』のなかでは一言も言わないんです。(中沢)ただ座っているだけです。(河合)いつ頃何を言うかと思ったら、煙を出すんです。口からぷわーっと(笑)。あれは煙草を吸っているんじゃないかと思う。(中沢)と...
(中沢)…… ですから、曼荼羅には中心に立って、全体に号令を出して動かしていくものはいません。そういうものがあるとしたら、曼荼羅のさらに奥のヴァーチャルな全体性しか考えられません。それをとりあえず、大日如来と呼んでいます...